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ファクタリングが違法ではない法的根拠と違法業者を見分ける3つのコツ
全国各地で建設が進められている太陽光発電所。数十キロワットから千キロワットを超えるものまでその規模はさまざまですが、今回、お話をうかがったのは、そんな大小の太陽光発電所の建設工事を請け負っている会社の経営者。受注額が大きくなればその分、必要とされる資金も増えていき、しかも昨今は着手金が発生しない案件が増えているとか。そんな事情からファクタリング活用に踏み切ったという経緯について聞きました。
Index
業種 : 電気・通信工事業(太陽光発電所施行)
年商 : 9600万円
従業員数 : 5名
売掛金買取額 : 230万円
——初めてファクタリングを利用なさったときの経緯を教えていただけますか?
ある案件を引き受けた際に、材料代が非常に高くなることがわかりました。太陽光発電所の工事を請け負うときは着手金が入ることも多いのですが、その案件は100%、出来高制で支払われることになっていまして、とにかく先に材料代を出して材料発注をしないと工事が始められないという状況に陥ったんです。
——出来高制とは?
出来高制というのは、こちらが工事をして、今月はこれだけ出来たので全体の予算から1割分が支払われる、という形で報酬を受け取る仕組みです。出来た分だけもらえるから「出来高制」というわけです。
それで、今回の案件は工期が半年ちょっとと長めで、発注額も8~9千万円という大きな規模だったのです。ただし、出来高制だと。
規模が小さくて期間が短ければ、着手金をもらって、中間金をもらって、残金をもらってというスタイルで進める場合もあります。期間が長いと出来高制が多いですね。ただ、最近は全体的に着手金がもらえるケースは少なくなってきているかな。
——着手金をもらえないと、資材などにかかる費用は工事を請け負う会社側で用意するわけですか?
そのとおりです。しかも今回の案件では、工事に使用するある材料が、通常よりかなり高いものでした。その材料を使ってくださいという指定だったので、それを変えることはできない。ざっくり言えば、普段、僕らが使っている同じ用途の材料は1メートルあたり180円くらいです。ところが指定された材料は900円くらい。それを2万メートルほど使うことになっていたので、それだけで2千万円程度になってしまうわけです。
——つまり、2千万円の材料代が必要になったのですか。
ええ。そうなると銀行は当然、間に合いません。審査に時間がかかるし、うちの財務状況だと厳しいというのもわかっています。さらに材料屋の与信枠も超えてしまっていたんです。さてどうするかと思ってファクタリングに行き着きました。
——ファクタリングのことは以前からご存知だったのですか?
知っていました。ただ、ファクタリングは手数料をかなり取られるというイメージがあって、正直、最初はちょっと怖かったですね。
最初は売掛金担保融資を利用したいと思っていました。でも早いのはやっぱりファクタリングなんですよね。今回は多少利益を削ってでもお金を回したいという感じだったので、スピードを優先するという判断をしました。利益比率自体は悪くない案件だったし、今回の発注を通じて仕事が広がっていくのが見えていたというのもあります。だからここは我慢して乗り切ろうという思いですね。
それに、材料屋や下請けへの支払いが遅れて信用をなくしたくないというのも大きかった。うちみたいな商売だと、材料屋にミソを付けるのが一番怖いんです。材料屋は横のつながりがあって、「あそこは払いが遅い」となると次からは材料をもらえなくなっちゃいますから。それだけは避けたかったです。
——ファクタリングの申し込みはどのようになさったのでしょうか?
ネットからですね。あるサイトから、フォームにうちの連絡先などを記入して送信してみたんです。そしたらすぐに数社から電話がかかってきて驚きましたよ(笑)。こちらはファクタリングを行っている会社のサイトだと思ってコンタクトしたんですが、実際には複数のファクタリング会社を紹介するサイトだったのですね(笑)。
それで確か3社目に、電話をもらって話してみた感触がいい会社があった。そこはもうフィーリングですね。ファクタリングを使うのは初めてで何もわからないから、担当者が信頼できそうだという感覚に頼って、その会社に相談することにしました。
——実際に利用してファクタリングへのイメージは変わりましたか?
思っていた以上に使いやすいと感じました。それにやっぱり、早い。初回もそうだったんですが、その後も利用させてもらって実感しています。こちらも書類の書き方などがわかってきて、やりとりがスムーズになってきているのもありますが。
直近だと、小さい規模の案件だったのですが、下請けへの着手金が計算外の支出になったことがありました。先程も言ったように着手金が発生するケースは減ってきているけど、下請けさんも大変だろうということで150万円支払った。それで資金が足りなくなったわけではないんです。ただ、月末ギリギリまで考えて、ちょっと引っ張っておいたほうが楽だなという感じでファクタリングを使わせてもらいました。
今はもう、カツカツの状態は完全に抜けているんですけどね。おかげさまで、そこは感謝しています。ファクタリング会社の担当者には「もう必要ないんじゃないですか」とも言われていますね。でも、先々はわからないですから。また材料代で行き詰まる可能性も無きにしもあらずなので。
——いざというときの資金調達策として確保しておきたいということですね。
ええ。この業界は売上がけっこう大きいんですよ。通常の電気工事業だと1億2億稼ぐにはどれくらい件数をこなさなければならないんだという感じですけど、太陽光発電は1つの現場で8千万円とか9千万円とか。その代わり、ちょっとキャッシュフローがおかしくなるとすぐに2~3千万円足りなくなったりもします。その穴埋めとしてファクタリングは優秀。
ただし、使い方は慎重にしないと。額が大きいだけに焦げ付いたときに被害も大きい。今はそんなふうに考えていますね。