ベンチャー企業が資金を調達する方法をメリット・デメリットとともに徹底解説！

ベンチャー企業が資金を調達する方法は？

まずは、ベンチャー企業が資金を調達する7つの方法を見ていきましょう。
自社に合うものがあるかどうかをご確認ください。

【資金を調達する7つの方法】

• 融資を受ける
• 助成金・補助金を活用する
• 投資家に出資してもらう
• ビジネスローンを利用する
• クラウドファンディングを募る
• 手持ちの固定資産を売却する
• ファクタリングを利用する

融資を受ける

ベンチャー企業が資金を調達するもっともシンプルな方法として、融資が挙げられます。
以下では数ある融資のなかから、3つの代表例をご紹介します。

 

銀行融資

銀行融資とは、メガバンクや地方銀行などの金融機関から資金を調達する方法のことです。
ほかの融資と比べると金利が低めに設定されているケースが多いため、「金銭的な負担を少しでも減らしたい」とお考えのベンチャー企業に適しています。
また、事業を拡大していくうえで必要となる、銀行との信頼関係の構築にもつながります。

ただし、銀行融資の審査は非常に厳格です。
審査では企業の信用力が重視されますが、一般的に大企業よりも信用を得にくいベンチャー企業にとって、審査を通過するのは容易ではありません。
そのため、必ずしも融資を受けられるわけではないことを理解しておく必要があります。

 

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫は、国が運営する公的な金融機関で、ベンチャー企業をはじめとする、民間の金融機関から融資を受けるのが難しい企業に向けて、最大72,000,000円の融資を行っています。
さらに金利が低めに設定されているため、初めて融資を受けるベンチャー企業にも適した借り入れ先といえるでしょう。

とはいえ、日本政策金融公庫の融資を受ける際にも審査は行われます。
通過に通過するかどうかは信用力次第なうえ、審査には数週間程度かかる点にもご留意ください。

 

地方自治体の制度融資

地方自治体が提供する制度融資は、地域経済の活性化を目的とした制度です。
これは各自治体と金融機関、信用保証協会が連携して実施する公的な制度で、低金利で利用できることから、ベンチャー企業でも資金を調達しやすいのが特徴です。
ただし複数の機関が関与する分、申請には手間がかかります。

なお、融資の限度額や申し込み条件などは自治体ごとに異なるため、利用する際は事前に確認しておきましょう。

助成金・補助金を活用する

ベンチャー企業は、次のような助成金・補助金を受け取ることも可能です。

【ベンチャー企業が受給できる助成金・補助金】

• 雇用調整助成金
• トライアル雇用助成金
• キャリアアップ助成金
• 中途採用等支援助成金
• ものづくり補助金
• IT導入補助金
• 小規模事業者持続化補助金
• 事業再構築補助金

これらの制度は厚生労働省と経済産業省が管轄しているため、信頼性が高く、初めて資金を調達する事業者様でも安心して申請できます。
加えて、原則返済が不要なのもうれしいポイントです。

ただし、助成金・補助金は基本的に後払いであり、補助金を受給するためには厳格な審査に通過しなければなりせん。
各助成金・補助金の詳細については、管轄する機関の公式ホームページでご確認ください。

投資家に出資してもらう

ベンチャー企業が資金を調達する方法として、投資家からの出資を募ることも挙げられます。
以下で2種類の出資元をご紹介しますので、それぞれご確認ください。

 

エンジェル投資家

起業したばかりで実績のない企業に出資する個人の投資家が、エンジェル投資家です。
出資の主な目的は、企業から将来的なリターンを得ることです。

しかし、エンジェル投資家は個人の投資家のため、後述するベンチャーキャピタルと比較して、出資の額が少ないというデメリットがあります。
原則返済義務がないとはいえ、エンジェル投資家の出資のみで資金繰りを改善するのは難しいかもしれません。

さらにエンジェル投資家から出資を受けるには、将来性を認めてもらえるような優れたビジネスモデルの構築が不可欠です。
競合他社よりも魅力的なビジネスモデルを構築するのは決して容易ではないため、入念に準備しておきましょう。

 

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、将来性があると見込んだスタートアップ企業に出資する組織のことです。
別の投資家や民間の金融機関から集めた資金を企業に提供し、事業の発展をサポートしてくれます。
この組織から出資を受ければ資金繰りが安定するのはもちろん、“ベンチャーキャピタルに認められた”という事実から、自社の将来性を対外的にアピールできるようになります。

ただし、ベンチャーキャピタルは出資するだけでなく、状況によっては経営に介入してくる場合がある点には注意が必要です。
「資金を調達したいけど、経営に口出しされたくない」とお考えなら、出資を依頼するベンチャーキャピタルは慎重に選定することが肝心です。

ビジネスローンを利用する

ビジネスローンも、ベンチャー企業が資金を調達する方法の一つです。
これは銀行や消費者金融が提供しているサービスで、基本的に無担保・無保証で借り入れできます。
また、審査を通過すれば最短即日で現金が手に入るため、資金を早急に調達したいときも安心です。

しかしビジネスローンの金利は、ほかの資金調達の方法に比べて高めに設定されているケースがほとんどです。
加えて借り入れの限度額も比較的少額であるため、利用する前には、ビジネスローンによって資金繰りを本当に改善できるかどうかを検討しましょう。

クラウドファンディングを募る

これから新規事業を立ち上げる場合は、クラウドファンディングで資金を調達するのも一つの手です。
クラウドファンディングではインターネット上にプロジェクトの概要を公開して出資者を募ることで、新規事業の運営に必要な資金を集めます。

この方法には、自社のファンを増やせるほか、テストマーケティングのような効果も期待できます。
事業をローンチする前に消費者の反応をうかがえるため、その結果を受けて製品やサービスを改良することも可能です。

ただし、クラウドファンディングで多くの出資者を集めるには、魅力的なアイデアが不可欠です。
多くの賛同を得られれば多額の資金を調達できますが、選択するプロジェクトによっては目標金額に達しなかった場合、1円も得られないことは理解しておかなければなりません。

手持ちの固定資産を売却する

保有する固定資産の売却は、自社の信用力やサービスの内容に関係なく資金を調達できる方法です。
売却できる固定資産の具体例としては、不動産や自動車などの有形固定資産、もしくは売却可能な権利を有しているソフトウェアや商標権といった無形固定資産が挙げられます。

これらの資産を少しでも高額で売却するコツは、時期を見極めることです。
不動産は引っ越しの需要が高まる春、自動車は年度末の買い替え需要が高まる3月ごろといった具合に、適切なタイミングで売却するとよいでしょう。

とはいえ多くのベンチャー企業は、高値で取引される資産を有していないのが実情です。
そのため、資産の売却のみで資金繰りを安定させることは難しいかもしれません。

ファクタリングを利用する

自社の信用力に不安がある状態で、資金を迅速に調達する必要がある場合には、ファクタリングの利用をおすすめします。

ファクタリングとは、企業が保有している売掛金をファクタリング会社に売却し、本来の支払期日より前に現金化するサービスのことです。
手数料はかかるものの、通常30日～60日ほどかかる売掛金の現金化が、最短即日で叶います。

またファクタリングでは、審査の際に“自社の信用力”ではなく、“売掛先の信用力”が重視されます。
したがって、信用力の低さが原因で銀行融資や投資家からの出資を断られたベンチャー企業でも、資金を調達できる可能性があります。
すでに融資や出資を断られた方や、自社の信用力に自信がない方は、ファクタリングの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

関連記事：おすすめのファクタリング会社16選の特徴を徹底分析！

 

資金調達のメリット

ベンチャー企業が資金を調達する最大のメリットは、新規事業の立ち上げや経営の安定化に必要な費用を確保し、自社の成長につなげられる点です。

ベンチャー企業の売上高は、数年間低い状態が続いたのち、急激に伸びる“Jカーブ”を描くケースが多いとされています。
しかし、ビジネスチャンスが巡ってきたときに十分な資金がなければ、経営を軌道に乗せられず、成長の機会を逃してしまうでしょう。
詳しくは後述しますが、ベンチャー企業が事業を発展させるには、適切なタイミング・方法での資金調達が欠かせません。

 

資金調達のデメリット

ベンチャー企業の資金調達には様々なメリットがある一方で、事前に押さえておくべきデメリットも存在します。

たとえば、多くの資金調達の方法には返済義務があります。
資金繰りを一時的に改善できたとしても、返済で経営を圧迫しては意味がありません。

こうした事態を防ぐためにも、資金を調達する際は、可能な限り自社の負担にならない方法を選ぶことが重要です。

 

ベンチャー企業の資金調達には何を選ぶべき？

ベンチャー企業が資金を調達する方法を決める際には、“資金調達ラウンド”を参照するとよいでしょう。

資金調達ラウンドとは、「シード期」「アーリー期」「ミドル期」「レイター期」の４つのステージからなる、ベンチャー企業の成長度合いの指標のことです。
各ステージの概要は次の通りです。

【資金調達ラウンドの概要】

ステージ	必要な資金の目安	概要
シード期	数百万円程度	起業の準備中で、事業のアイデアやプロトタイプのみがある段階
アーリー期	数千万円程度	起業直後で、事業をリリースできる段階
ミドル期	数億円程度	事業が軌道に乗り、事業の拡大や新規立ち上げを検討している段階
レイター期	数十億円程度	上場の準備を行っており、IPOなども検討している段階

 

以下で各ステージの詳細と、向いている資金調達の方法をお伝えします。

【４つのステージ】

• シード期
• アーリー期
• ミドル期
• レイター期

シード期

シード期は、起業に向けた準備や検証を進めるステージです。
この段階では事業を開始していないため、信用力が乏しく、民間の金融機関から融資を受けるのは難しいといわれています。
したがって、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどを活用して資金を調達するのが一般的です。

なお近年では、シード期にクラウドファンディングで出資を募るベンチャー企業も増えつつあります。

アーリー期

成長の初期段階であるアーリー期は、事業の方向性が定まり、サービスを市場にリリースできる状態を指します。
このタイミングでは、シード期と同様に信用力が不十分なケースが多いという理由から、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどが資金の主な調達先となります。

次のステージに向けてローンチの準備や採用活動を進める段階のため、シード期よりも多くの資金が必要になるでしょう。

ミドル期

アーリー期で安定させた基盤をもとに、事業のさらなる成長を目指すのがミドル期です。
これまでのステージに比べてより多くの資金が必要となることから、金融機関やベンチャーキャピタルから数億円規模の融資・出資を受けるケースも珍しくありません。

ミドル期は企業の命運を分ける非常に重要なステージのため、資金の調達先や金額は慎重に検討する必要があります。
場合によっては、複数の方法で資金を調達するのも有効です。

レイター期

レイター期とは、事業が一定以上の規模に達し、IPOや新規事業の立ち上げなどを視野に入れるステージのことです。
資金調達ラウンドの最終段階に位置するこのステージでは、組織体制の強化やグローバル展開を叶えるために、数十億円規模の資金調達が必要になることも珍しくありません。

これだけの額を調達するのは決して容易ではありませんが、レイター期まで成長した企業には培ってきたブランド力や信用力があるため、より多様な資金調達方法を検討できるようになります。

自社の成長戦略や資金使途に合った方法を比較・検討し、最適な形で必要な資金を確保することが重要です。

 

ベンチャー企業が資金調達で抱える可能性がある課題

ベンチャー企業は、資金調達の選択肢が限られるという課題を抱えがちです。
大企業に比べて信用力が低く、金融機関や投資家からの資金調達が容易ではないことから、経営が立ちゆかなくなるケースも多々あります。

また別の課題として、資金調達には時間がかかる点も挙げられます。
融資や出資を受けられることが決まったとしても、そこから実際に資金を手に入れるまでには数か月を要するのが一般的です。
競合他社に後れをとらないよう、迅速な意思決定が求められるベンチャー企業にとって、このタイムロスは非常に痛手といえます。

 

ベンチャー企業が資金調達を成功させるポイント

ベンチャー企業が資金調達を成功させるには、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。

【4つのポイント】

• ポイント①自社に合う資金調達の方法を見つける
• ポイント②資金調達のタイミングを見極める
• ポイント③事業計画書の内容を充実させる
• ポイント④企業価値を適切に評価する

ポイント①自社に合う資金調達の方法を見つける

ベンチャー企業は、自社の資金調達ラウンドや事業内容に合う方法で資金を調達することが大切です。

ベンチャー企業が資金を調達する方法は多岐にわたり、企業ごとに向き不向きがあります。
それを理解しないまま資金調達の方法を選んでも、思うような成果は得られません。

自社の置かれている状況をきちんと把握したうえで、適切な方法が何なのかを判断しましょう。

ポイント②資金調達のタイミングを見極める

資金が必要となるタイミングを予想しておくのも、ベンチャー企業が資金調達を成功させるポイントの一つです。

繰り返しになりますが、融資や出資を受けるには時間がある程度かかります。
それを見越して資金調達の準備を進めておかなければ、いざというときに十分な額の資金を調達できず、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
自社の資金調達ラウンドを意識しつつ、余裕をもって資金調達に取り組むことで、こうしたリスクを回避できます。

ポイント③事業計画書の内容を充実させる

ベンチャー企業が資金調達を成功させるには、自社の魅力や信用力をアピールできるような事業計画書の作成も欠かせません。

金融機関や投資家、自治体の支援制度など、あらゆる資金調達の場面で事業計画書の提出は必須とされており、この書類によって競合優位性や将来の成長性を証明することが、資金調達の成否を左右します。
なお事業計画書には、内容の信ぴょう性を高めるために、事業の実現可能性を裏付ける根拠や、具体的なデータを盛り込む必要があります。
資金調達の方法によって作成時のポイントは異なりますが、どの方法においても、可能な限りシンプルかつ論理的な事業計画書を作成したいところです。

ポイント④企業価値を適切に評価する

企業価値を客観的に評価することも、ベンチャー企業が資金調達を成功させるポイントとして挙げられます。

過大評価は、調達先である投資家の不信感を招きやすく、逆に過小評価では、少額の調達で多くの株式を発行することとなり、株式の希薄化を招くおそれがあります。

そのため、適切な資本政策を設計し、既存の株主の利益と資金繰りのバランスをとりましょう。

ただし、企業価値の評価を自社の従業員のみで行うと、先入観にとらわれて適切な判断ができない場合があります。
このような事態を避けるには、会計士や弁護士などから意見を募るのも一案です。
第三者目線の意見を取り入れることで、企業価値をより客観的に評価できるようになります。

 

ベンチャー企業が資金を調達する際に覚えておきたいこと

最後に、ベンチャー企業が資金を調達する際に覚えておくべき2つのことをご紹介します。
資金調達の際に「こんなはずではなかった……」と後悔しないためにも、ぜひご確認ください。

審査に通過できない可能性がある

必ずしも資金を調達できるとは限らないことは、あらかじめ理解しておかなければなりせん。

これまでにもお伝えした通り、金融機関や投資家などから資金を調達する際には審査が伴います。
自社の信用力や企業の成長性が認められなければ審査に通過できず、資金調達は失敗に終わってしまいます。
特に資金調達ラウンドの序盤に位置するベンチャー企業は、審査に通過するのが困難です。

とはいえ方法次第では、ベンチャー企業でも資金を調達できる可能性は十分にあります。
たとえばファクタリングであれば、審査時に売掛先の信用力が重視されます。
自社の信用情報が低くても、売掛先の信用力が認められれば、資金を調達できる可能性があるのです。

このように、一つの方法で審査に通らなかったからといって諦めるのではなく、複数の方法を検討することが肝心です。

返済義務が生じる場合がある

資金調達の方法によっては返済義務が生じる点にも、注意が必要です。

各種融資やビジネスローンなど、一部の資金調達の方法には返済義務があります。
もし返済が滞ると、信用力の低下を招き、取引先や資金の調達先との関係に悪影響を及ぼします。
また返済が負担になって経営を圧迫すると、事業の継続性や従業員の雇用にも深刻な影響を与えかねません。

こうした事態を防ぐためにも、返済計画をきちんと立てて、無理のない範囲で資金を調達することを心がけましょう。
もしくは助成金・補助金やファクタリングなど、原則返済義務のない方法を選択するのも有効です。

 

ベンチャー企業が資金を調達する方法は多岐にわたり、自社に合うものを選ぶことが大切

今回は、ベンチャー企業が資金を調達する方法を、それぞれのメリット・デメリットとともに解説しました。

ベンチャー企業でも、審査に通過したり要件を満たしたりすることで、多種多様な方法で資金を調達できます。
ただしそれぞれのメリット・デメリットを理解しておかなければ、理想の資金調達は実現しません。
自社の資金調達ラウンドや事業内容を鑑みて、適切な方法で資金を調達しましょう。

「自社に合う資金調達の方法がよくわからない……」とお悩みなら、資金調達ニュース.com
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