ファクタリングとは
ファクタリングとは、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい現金化する資金調達方法です。
事業者同士の取引においては、商品やサービスを提供したのち、代金の入金に数か月かかるケースが珍しくありません。
そのため、資金繰りがうまくいかなければ、売掛債権の回収期日までに、資金が不足してしまうおそれがあります。
そのような際にファクタリングを利用すれば、債権の回収期日を待たず、すぐに現金を手にできるので、資金繰りの改善が見込めます。
関連記事:ファクタリングサービスとは何?元審査担当が意味や仕組みを図解で徹底解説!
ファクタリングと銀行融資の違い
事業者が資金を調達する手段として、銀行からの融資を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ファクタリングと銀行融資では、契約形態や資金の調達に要する時間など、多くの点で違いがあります。
【ファクタリングと銀行融資の違い】
|
ファクタリング |
銀行融資 |
契約形態 |
売買契約または譲渡契約 |
融資契約 |
手数料または金利 |
2者間:8~18% 3者間:2~9% |
~15% |
調達に要する時間 |
数時間~数日間 |
数週間~数か月 |
信用情報 |
無関係 |
信用情報機関に登録 |
銀行融資とのもっとも大きな差異は、ファクタリングは融資契約ではなく、売買契約もしくは譲渡契約である点です。
そのため、ファクタリングを利用することで信用情報に傷がつくおそれはありません。
なお、銀行融資にもさまざまな種類があり、なかには売掛債権を担保とする「ABL(売掛債権担保融資)」という手段も存在します。
売掛債権を用いる融資ではあるものの、ファクタリングとは性質が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
関連記事:ファクタリングと融資の違いを徹底比較!
ファクタリングが役に立つケース
ファクタリングと融資の違いが理解できたところで、次は具体的にどのようなケースで役に立つのかを見ていきましょう。
ここでは、代表的な2つのケースを紹介します。
大規模な案件を受注したいとき
ファクタリングが役に立つタイミングとしては、大規模な案件の受注が控えているときが挙げられます。
案件の規模が大きくなるにつれて、それにともなう費用はかさむ傾向にあります。
一時的に多額の資金が必要になった際は、ファクタリング会社に売掛債権を売却し、早期に現金化するのが得策です。
資金調達の選択肢としては、銀行から融資を受ける手段もあるでしょう。
しかし、すでに融資の枠が埋まっている場合などは、ビジネスを成功させるために、ファクタリングが役に立つ場面もあるはずです。
関連記事:ファクタリングと売掛債権担保融資の違いを解説
一時的な要因で運転資金に余裕がないとき
一時的な要因で運転資金に余裕がなく、ファクタリングを利用するケースも考えられます。
突発的な支払いが発生したり、必要な支払いを忘れていたりと、往々にして事業者の資金繰りは予定通りに進まないものです。
そのような場合にファクタリングで現金を調達すれば、資金のショートを避け、支払いの不足分を埋め合わせることができます。
ファクタリングのメリット
ここからは、ファクタリングを利用する3つのメリットを紹介します。
メリット①最短即日で資金を調達できる
スムーズな資金調達が叶うのは、ファクタリング最大のメリットです。
ファクタリング会社によっては、申し込みの当日中に現金化まで手続きが進みます。
一方で銀行融資の場合は、現金を手にするまでに数週間~数か月かかります。
緊急時の資金調達には、ファクタリングを利用しましょう。
関連記事:即日での入金に対応しているファクタリング会社29選
メリット②審査に比較的通過しやすい
ファクタリングを利用するには、ファクタリング会社の審査を受ける必要があります。
しかし、銀行や消費者金融の融資の審査と比べると、比較的通過しやすいといえます。
その理由は、ファクタリングが融資ではなく、あくまでも売買契約または譲渡契約に該当する取引だからです。
ファクタリングの審査では売掛先の信用力が重視され、利用する事業者が多少の債務超過をしていても問題視されない可能性があります。
【関連記事】
ファクタリングの審査基準とは?押さえたいポイントも紹介
銀行融資を断られる会社の特徴は?
メリット③売掛先が倒産してもリスクがない
ファクタリング会社に売掛債権を売却すれば、売掛先の倒産リスクから解放されます。
万が一、ファクタリング会社が売掛債権を回収できない事態に陥っても、売掛債権を手放したあとに、こちらが責任を負うことはありません。
債権には、債務者から支払いが行われない際に、元本の償還を請求する「償還請求権」が存在します。
ただし、日本国内のファクタリングにおいては、償還請求権のない契約が一般的です。
ファクタリングで調達した資金は、売掛債権の未回収リスクを心配せずに利用できます。
関連記事:ファクタリングにおける償還請求権の意味とその影響を解説
ファクタリングのデメリット
残念ながら、ファクタリングにはメリットだけではなく、デメリットも存在します。
両方を把握したうえで、ファクタリングの利用を検討しましょう。
デメリット①手数料がかかる
ファクタリングの利用には、手数料が発生します。
手数料の利率は、売掛債権の回収リスクなどをもとに、総合的に判断されて決まります。
場合によっては銀行融資の金利より高額となるため、注意が必要です。
ファクタリングと融資の両方を利用できる状況であれば、それぞれの特徴を把握したうえで、適切な手段を選びましょう。
関連記事:ファクタリングにかかる手数料率の相場はどのくらい?
デメリット②債権譲渡登記が必要な場合がある
売却する売掛債権が高額になると、債権譲渡登記が求められる場合があります。
債権譲渡登記とは、債権者が誰であるのかを公的に示す手続きです。
流動資産である売掛債権が移動した際に、新たな債権者を登記簿に記載します。
債権譲渡登記が済んだあとなら、登記簿を確認すれば誰でも、売掛債権が譲渡された事実を知ることができます。
予期せぬタイミングで売掛先に知られた場合は、経営状況を疑われて取引を打ち切られるなど、トラブルにつながりかねません。
また、債権譲渡登記には数万円の費用がかかる点もデメリットです。
参照:東京法務局|債権譲渡登記
デメリット③売掛債権の範囲内でしか利用できない
当然ですが、ファクタリングは売掛債権の範囲内でしか利用できないという点も覚えておきましょう。
そもそもファクタリングは融資とは異なり、売買契約もしくは譲渡契約です。
そのため、取り扱う売掛債権を上回る現金は手にできません。
調達したい金額が売掛債権の額を超える場合、ほかの資金調達方法も考える必要があります。
関連記事:ファクタリングで調達できる額に上限はある?
ファクタリングの種類
ファクタリングには、主に「買取型」と「保証型」の2種類があります。
取引を理解するために、両者の違いを頭に入れておきましょう。
買取型
買取型では、ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらうことによる資金調達を目的としています。
契約には2者間で行うものと3者間で行うものの2パターンが存在し、それぞれ手数料の相場が異なります。
仕組みや手数料の違いについては、あとで詳しく解説するため、そちらもあわせてご確認ください。
なお、ファクタリングと言えば一般的に買取型を指すため、本記事でも特に断りがない限りは、買取型のファクタリングについて解説します。
関連記事:買取型ファクタリングとは?メリット・デメリットも紹介
保証型
売掛債権を譲渡せずに、未回収リスクをカバーするのが、保証型のファクタリングです。
保証型では、事前にファクタリング会社に保証料を支払います。
そうすることで、売掛先の倒産などを理由に売掛債権が回収できなくなった際に、ファクタリング会社から保証金を受け取れます。
注意点は、売掛債権が回収不可能であるとファクタリング会社が判断し、保証金を受け取るまでに時間がかかる点です。
そのため、買取型のファクタリングとは異なり、急いで現金を手にしたい場面には適していません。
また、無事に売掛先から売掛債権を回収できた場合は、その時点で契約が終了し、支払った保証料は返ってきません。
関連記事:保証型ファクタリングとは?買取型ファクタリングとの違いを解説
ファクタリングの仕組み
ファクタリングの概要については、ご理解いただけたでしょうか。
次に、ファクタリングを利用する際の具体的な流れを見てみましょう。
ここでは、契約形式ごとに2者間ファクタリングと3者間ファクタリングに分けて、それぞれの仕組みを解説します。
2者間ファクタリング
2者間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社のみで契約を締結する形式です。
売掛債権を売却した事実を売掛先に知られる可能性が非常に低いため、取引関係に悪影響を及ぼすリスクを回避できます。
2者間ファクタリングの大まかな流れは、以下の通りです。
【2者間ファクタリングの流れ】
- 利用者がファクタリング会社に買取を申し込む
- ファクタリング会社による審査が行われる
- 審査を通過したら、買取条件を確認し、契約を結ぶ
- 利用者が売却した売掛債権から、手数料を差し引いた額が振り込まれる
- 売掛先から代金が支払われたら、ファクタリング会社に送金する
2者間ファクタリングでは、売掛先を介さずに、利用者とファクタリング会社のあいだで取引が進みます。
そのため、このあと解説する3者間ファクタリングと比べて、売掛債権を現金化する流れがスムーズです。
しかし、2者間ファクタリングにはデメリットも存在します。
売掛先から代金が支払われた際は、利用者からファクタリング会社に送金しなければならないため、事務負担がかかります。
また、3者間ファクタリングと比べて手数料が高い傾向があるため、メリットとデメリットを比較して、契約形式を選択するのが重要です。
関連記事:2者間ファクタリングとは?ファクタリングの種類とともに紹介
3者間ファクタリング
利用者とファクタリング会社にくわえて、売掛先とも契約を結ぶのが、3者間ファクタリングです。
売掛先が利用者を介さず、直接ファクタリング会社に代金を支払う点が、2者間ファクタリングと異なります。
【3者間ファクタリングの流れ】
- 利用者がファクタリング会社に買取を申し込む
- ファクタリング会社による審査が行われる
- 審査を通過したら、売掛先へ債権が譲渡された旨を通知する
- 利用者が売却した売掛債権から、手数料を差し引いた額が振り込まれる
- 売掛先がファクタリング会社に、代金を支払う
2者間ファクタリングと比べて手数料を抑えられるものの、3者間で取引を進める流れはやや複雑です。
また、売掛先に売掛債権を譲渡したことが知られるため、利用者に対して悪い印象を与えてしまう可能性があります。
なお、最近では手数料の安い2者間ファクタリングも増えており、金銭的なメリットを重視するケースだとしても、一概に3者間ファクタリングが優れているとは言えません。
【関連記事】
銀行系ファクタリングとは?メリット・デメリットも紹介
3者間ファクタリングとは?メリットとデメリットを解説
ファクタリングの申し込みに必要な書類
ファクタリングを申し込むには、何点か提出しなければならない書類があります。
利用するファクタリング会社によって違いはあるものの、基本的には以下の書類が求められます。
【ファクタリングの申し込みに必要な書類】
- 利用者の身分証明書
- 入金が確認できる通帳のコピー
- 売掛債権が確認できる請求書や見積書
- 決算書(法人の場合)
- 確定申告書(個人の場合)
提出した書類をもとにファクタリング会社が審査を実施し、通過した場合は契約へと進みます。
なお、申し込み後の契約手続きでは、印鑑証明書や登記簿謄本、納税証明書など、別途必要な書類の提出が求められます。
関連記事:ファクタリングに必要な書類は?必要書類が少ないファクタリング業者7選もご紹介
ファクタリング会社を選ぶ際に確認したいポイント
ファクタリング会社を選ぶ際には、何点か確認したいポイントが存在します。
「どのような基準で選べばよいかわからない」とお悩みの方は、参考にしてください。
ポイント①ファクタリングの契約形式
まずは、ファクタリング会社が扱っている、ファクタリングの契約形式を確認しましょう。
ファクタリングには、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングが存在し、特徴や仕組み、手数料が異なります。
特に、売掛先への通知の有無が大きな違いなので、その点を理解したうえで判断する必要があります。
2者間ファクタリングと3者間ファクタリングには、それぞれメリットとデメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言えません。
あくまでも状況に応じて、自社にとって適切な契約形式を提供するファクタリング会社を選択してください。
関連記事:ファクタリングの契約手順と注意点|契約書はきちんと確認を!
ポイント②入金までの日数
ファクタリングによる資金調達を考えるときに、どれくらいのスピードで現金を手にできるのかは重視したいところです。
2者間ファクタリングであれば、売掛先への通知が必要ないので、ファクタリング会社から最短即日で入金が行われます。
また、電子契約を採用しているファクタリング会社の場合、申し込みから入金まで、すべての手続きがオンライン上で完結します。
ファクタリング会社の事務所へと足を運ぶ必要がないため、さらに迅速な資金調達が可能です。
ポイント③手数料
現金化を急いでいる場合であっても、手数料率は忘れずに確認しておきましょう。
ファクタリング会社によって手数料は異なりますが、妥当な額が設定されているのかは注視しなければなりません。
手数料率は、2者間ファクタリングでは8~18%、3者間ファクタリングであれば2~9%が相場となっています。
相場から大きく乖離する手数料率を設定しているファクタリング会社は、利用すると思わぬトラブルが発生するリスクがあります。
可能であれば複数社を比較し、納得できる手数料が設定されているファクタリング会社を選んでください。
関連記事:手数料が安いファクタリング会社10選!サービス内容で比較
ポイント④買取可能額
売掛債権の買取可能額もまた、ファクタリング会社によって異なります。
資金調達のために希望する買取金額を満たしているのかは、事前に確認が必要です。
ファクタリング会社によっては、「上限が5,000万円で下限が10万円」といったように、金額の上限だけではなく、下限も設定されている場合があります。
また、そもそも買取可能額の上限や下限が決まっていないケースも存在し、ファクタリング会社によって設定はさまざまです。
設定された上限によっては、希望する額をまかなえない可能性も出てきます。
そのような事態を避けるためにも、買取可能額の上限や下限を設定していないファクタリング会社を選ぶと安心です。
ポイント⑤償還請求権の有無
ファクタリング会社を選ぶ際は、償還請求権の有無も確認したいポイントです。
償還請求権のあるファクタリング契約を交わした場合、売掛先から売掛債権を回収できなかった際に、利用者がその金額を負担しなければなりません。償還請求権のない契約が一般的ですが、念のためチェックしておくのがおすすめです。
関連記事:ファクタリングにおける償還請求権の意味とその影響を解説
ポイント⑥ファクタリング会社の信頼性
最後に、ファクタリング会社の信頼性も忘れてはいけない比較項目です。
日本では現状、免許や許可がなくともファクタリング会社を開業できます。
そのため、優良企業と悪徳企業が混在しており、簡単に見極めるのが難しくなっています。
ファクタリング会社を選ぶ際は、必ず複数社を比較検討し、会社の規模やコンプライアンス体制を精査してください。
ファクタリング会社のホームページを閲覧し、買取可能額や手数料についての記載を確認するのも大切です。
「必ず買い取れる」「100%現金化できる」といった、過剰な表現を掲載しているファクタリング会社は、トラブルが起こる可能性が高いため、利用を避けましょう。
関連記事:ファクタリングが違法ではない根拠と悪徳業者の特徴を解説
ファクタリングは売掛債権を売却して現金化する資金調達方法
いかがでしたでしょうか。
今回は、ファクタリングの概要やファクタリング会社を選ぶポイントを解説しました。
ファクタリングは、売掛債権を売却することでスムーズに現金を手にできる、便利な資金調達方法です。
また、ファクタリングには2者間ファクタリングと3者間ファクタリングが存在し、仕組みや手数料が異なります。
資金調達のためにファクタリング会社を利用する際は、それぞれのメリットとデメリットを把握したうえで、適切な種類を選びたいところです。
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