ここでは下記3つについて徹底解説をしていきます。
・銀行融資の種類
・銀行借り入れの審査における5つのポイント
・銀行に「返済能力がある」と判断されるための条件
ぜひ、最後までご覧ください。
銀行が個人に行う融資は大きく3種類に分けられる
銀行が個人に対して行う融資は、大きく3つに分けることができます。
以下では、それぞれの融資の種類について説明します。
プロパー融資
プロパー融資は、銀行が借入希望者に対して直接行う融資です。
保証協会の保証なしで銀行が自行の責任で融資を行う形になるので、借り入れた人からの返済が行われないようになると、銀行がまるまる被害を被るという事態に陥ります。
それゆえ、他の融資と比べると審査が厳しめに行われる傾向にあります。
ただしその分、金利設定が低めになっていたり融資を受けられる金額の上限が大きかったりと、融資希望者にとってはぜひ利用したいと思わせるような魅力的な条件が備わっている融資であると言えるでしょう。
関連記事:プロパー融資とは?メリット・デメリット、申し込み時の注意点を解説
信用保証協会付き融資
信用保証協会付き融資は、借入希望者が各都道府県の信用保証協会による保証を受けたうえで、銀行から受ける融資です。
信用保証協会付き融資では、借り入れた人が返済できない状態に陥ってしまった場合に、信用保証協会が銀行に80%~100%の金額の「立て替え払い」を行います。
そのためプロパー融資とは異なり、銀行が貸し倒れの被害にあう心配が少ないので、銀行としても安心してお金を貸しやすいのです。
ただし信用保証協会付き融資では、信用保証協会と銀行双方のOKが出てはじめて借り入れを行えるため、お金を調達できるまでにかかる時間が少々長くなる傾向にあることには、注意しておかなければならないでしょう。
ビジネスローン
ビジネスローンは、プロパー融資や信用保証協会付き融資では融資OKにならない場合や、急いでお金を借りる必要がある場合に便利な融資です。
信用保証協会付き融資を利用するためには信用保証協会の保証を受ける必要がありますが、ビジネスローンの場合はノンバンクなどが保証会社となっています。
融資形式もさまざまで、一般的なローンと同じような形式もあれば、カードローンのような形式で利用できるものもあります。
ただし、他の融資方法と比べると融資額の上限が少し小さかったり、金利が高めだったりすることが多いので、必要な金額や返済負担を考えたうえで融資を受けるかどうかを判断しなければなりません。
関連記事:ビジネスローンとは?特徴やメリット・デメリットを徹底解説
銀行借り入れの審査における5つのポイント
銀行で借り入れを行いたいと思い申し込みを行っても、審査に通らなければ融資を受けることはできません。
銀行借り入れの審査におけるポイントとしては、主に以下のようなことが挙げられるでしょう。
- 融資額および資金をどのような目的で使うかをはっきりさせる
- 銀行による格付けをよくする
- 現実的で説得力を持った事業計画を作る
- 担保と保証人を用意しておく
- 日ごろの取引を通じて銀行と良好な関係を構築しておく
それぞれのポイントについて、説明します。
融資額および資金をどのような目的で使うかをはっきりさせる
融資を受けたい金額および、融資によって得たお金をどのように利用する予定かは、非常に重要な審査基準です。
銀行としても納得できる根拠がなければ、数百万円や数千万円単位の融資を行うことはできません。
必要な金額や資金使途の根拠となるような書類を準備したうえで、申し込みを行うようにしましょう。
銀行による格付けをよくする
銀行では、返済能力や信用情報などといった複数の情報を踏まえて、法人や事業者を以下のように分類して格付けを行っています。
- 正常先
- 要注意先
- 要管理先
- 破綻懸念先
- 実質破綻先
- 破綻先
よりよい格付けに分類されていればいるほど、信用力が高く返済能力もあると判断されやすいので、銀行としても融資を行いやすくなります。
格付けが正常先ではないと借り入れを行うことができないとは限りませんが、借りることができる金額が少なかったり、金利設定が高めになったりする可能性が高くなってしまいます。
格付けはすぐに改善できるわけではありませんが、利益率を上げたり手元資金を増やしたりするなど、できる範囲のことから少しずつ努力することが重要です。
現実的で説得力を持った事業計画を作る
事業計画書は審査における重要な書類のひとつです。
融資を受けた人がそのお金を元手にして事業を継続・拡大しなければ、銀行に対して継続的に返済を行うことは難しいからです。
それゆえ事業計画書は、本当にその内容が実行できるだろうと銀行に判断してもらえるような、現実的で説得力のあるものでなければなりません。
これまでに事業計画書を作ったことがなく、注意すべき点が分からない方は、税理士などの専門家から適宜アドバイスをもらいながら作成するというのも、ひとつの方法です。
担保と保証人を用意しておく
売り上げの伸びが芳しくない、経常利益率が低いなど、審査におけるマイナス要素がある場合でも、担保があればそのマイナス要素をカバーできる可能性があります。
担保には、主に自宅や土地などの不動産が利用される「物的担保」と、保証人と呼ばれることも多い「人的担保」の2つがあります。
担保や保証人が用意できているからといって、必ずしも融資OKになるわけではありませんが、もしもの場合に備えて用意しておくとよいでしょう。
日ごろの取引を通じて銀行と良好な関係を構築しておく
銀行としても、事業などについて何の情報も持たない相手よりも、どのような事業を行っているかや最近の業績などについてある程度知っている相手のほうが、安心して融資しやすいことは間違いありません。
そこで、銀行の担当者と定期的に事業の状況について話したり、当該銀行で定期預金を利用したりして、銀行と良好な関係を構築しておくように心がけましょう。
そうすることで、融資を受けやすくなるだけでなく、より好条件で融資を受けられることも期待できます。
銀行との関係性構築がしっかり行えていない場合は、その銀行と取引のある税理士や司法書士から紹介を受けるというのも、有効な方法です。
「返済能力がある」と判断されるための4つの条件
銀行が融資を行う際に一番恐れるのは「貸し倒れ」の可能性なので、銀行から「返済能力がある」と判断されるかどうかは、融資の可否に大きく関わってきます。
銀行から「返済能力がある」と判断されるための条件としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 長期間にわたって定期的な収入がある
- ある程度の自己資金がある
- 信用情報がブラックではない
- 銀行の格付けが「正常先」であり、銀行とも定期的な取引がある
それぞれの条件について、説明します。
長期間にわたって定期的な収入がある
収入に関しては、「定期的な」という点が重要です。
200万円の収入1回と20万円の収入10回は、金額としては同じですが、定期的に収入を得ているほうが今後の収入も予測しやすく、返済能力を判断しやすいからです。
また、現在は定期的な収入を得ているとしても、これまでに何度も職や事業を変えている人は要注意です。
そのような人は、今後もまた別な事業にチャレンジする可能性が高く、現在得ている定期的な収入を今後も得られるとは限らないと銀行に判断されてしまう可能性があるため、融資を受けられないかもしれません。
ある程度の自己資金がある
銀行口座などにある程度の自己資金がある人は、万が一今の定期的な収入を失ったとしても、しばらくは自己資金を利用して返済を継続することができます。
そのため、自己資金が多いほうが返済能力が高いと判断されて、銀行も安心して融資を行いやすくなるでしょう。
自己資金は多ければ多いほうがよいことは間違いありませんが、少なくとも100万円程度はあれば銀行の印象はよくなります。
また、融資を受けようとしている銀行の口座にお金があったほうがよいので、自己資金を別の金融機関の口座に入れているのであれば、融資の申し込み前にお金を移しておくのが賢明です。
信用情報がブラックではない
過去にキャッシングで借りたお金を長い間返済していなかったり、携帯電話の割賦払いの支払いが遅れていたことがあったりすると、信用情報にそういった事実が記録として載っており、いわゆる「信用情報ブラック」と呼ばれる状態になってしまっています。
信用情報ブラックは、銀行からすれば一目で敬遠すべき相手と分かってしまいますし、もちろん返済能力があると判断されることもありません。
一度信用情報ブラックになってしまうと、取り消したり撤回してもらったりすることはできないので、お金を借りるのは絶望的と言わざるを得ません。
支払いの済んでいなかったお金をきちんと支払うことで、数年後には信用情報ブラックの状態から抜け出せるので、それまでは融資の申し込みは控えるようにしましょう。
銀行の格付けが「正常先」で銀行とも定期的な取引がある
先ほど少し触れた銀行による格付けが「正常先」であれば、返済能力に関しては問題ないと判断されているはずです。
格付けは1年ごとの更新となっているため、現在の格付けが正常先でない場合は利益率の改善などの対処を行い、銀行による格付けが正常先になった後に、あらためて融資の申し込みを行うとよいでしょう。
また、格付けが正常先の事業者であっても、銀行が業績などを正確に判断しているかどうかで、銀行が返済能力に対して抱く確度は変わります。
金融商品を利用するなどして銀行と定期的な取引を行い、銀行から「返済能力が高い」と判断してもらえるように心がけるとよいでしょう。
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