安定した経営を行っていくためには、資金管理に意識を向けておくことが大切です。適切な「借り入れ依存度」を超えて負債を抱え込んでしまうと、将来的に経営を圧迫してしまう要因となるでしょう。継続して事業を行っていくためにも、借り入れ依存度を見直すことは重要なのです。中小企業の借り入れ依存度を減らすための改善策について、詳しく解説します。
借り入れ依存度とは
借り入れ依存度は企業の総資産の中で、借入金がどの程度の割合を占めているかを示す基準を指します。
企業の資産を構成するものは、土地・建物・棚卸資産・売掛金などがあるものの、そうした資産をどういった手段で取得しているかが大切です。
貸借対照表を見れば、資産・負債・資本金の構成が分かるため借り入れ依存度も明らかになります。
理想としてはすべての資産を自己資本によって賄えている状態であり、自己資本比率が高いほど企業の健全性を示しているのです。
したがって、借り入れ依存度が低ければ経営が安定していると見なされるので、金融機関や取引先に対する信用度も高くなる傾向にあります。
中小企業における適切な借り入れ依存度
借り入れ依存度は大企業よりも、中小企業の経営の健全性を測る上で重要な指標です。
その理由としては、大企業であればさまざまな手段で自己資本比率を高めることが可能であり、資金調達も幅広く行えるからです。
中小企業においては資金調達を円滑に行うためにも、バランスシートの健全性を保っておくことが大切といえます。
中小企業では一般的に、借り入れ依存度の割合は50~60%が一つの目安です。
60%を超えてくると注意が必要な段階であるため、資金繰りや経営そのものを見直すタイミングでもあるのです。
基本的には、借り入れ依存度が50%以下になることを目指すと良いでしょう。
ただ、業種によっては多額の設備投資が必要となるので、製造業などでは借り入れ依存度は高くなる傾向にあります。
自社が属している業界の競合他社と比べて、財務面での健全性をどのくらい保てているのかをチェックするようにしましょう。
借り入れ依存度の計算方法
自社の借り入れ依存度を具体的に算出するには、計算式に当てはめて割り出していきます。
「(借入金+割引手形+社債)÷総資産×100=借り入れ依存度(%)」によって求められるのです。
たとえば、「(短期借入金200万円+長期借入金300万円+割引手形100万円)÷総資産1500万円×100=40%」となります。
このケースの場合では、総資産の40%を借入金によって賄っていることが分かるのです。
借り入れ依存度を減らしたい! 中小企業にオススメの改善策
借り入れ依存度を改善する方法について説明します。
自社に合ったものを選んで取り入れてみてください。
借り入れを増やさない・減らす
借り入れ依存度が高い状態にある場合には、改善策を一つずつ実行していくことが重要です。
まず、新たな借り入れを行わずにできるだけ自己資本だけで経営を行っていきましょう。
さらに、余剰利益を返済に回すことによって、自己資本比率を高めていけます。
借り入れに依存しない財務体質を形作るためにも、最も堅実な手段を実行していくようにしましょう。
一時的に資金繰りが苦しくなったとしても、新たな借り入れを行わないことで将来的には財務内容が健全化していくはずです。
企業規模を拡大する
借り入れ依存度を下げるには、総資産の割合に注目することも大切になります。
借入金の総額に変化がなかったとしても、総資産の金額が増えれば結果的に借り入れ依存度は低下するのです。
事業によって得られた利益を商品の仕入や設備投資などに投入することで、総資産を増やしていけます。
「利益を何に使うのか」は経営戦略を考える上でも大事な要素となるので、事業計画と照らし合わせて充分に検討していくことが重要です。
業績を押し上げていく「事業性の高い資産」に資金を有効活用してみましょう。
ファクタリングを利用する
売掛金や手形などの売掛債権を保有している場合は、「ファクタリングの活用」を考えてみるのも、借り入れ依存度を低下させることにつながります。
ファクタリングとは、会社が保有する売掛債権を専門業者に買い取ってもらうことで、早期に現金化する方法です。
大きな特徴としてあげられる点は、資産の売却であるため負債を増やさずに資金調達が行える点にあります。
一時的に資金繰りが苦しいときにファクタリングを活用すれば、新たな借り入れを増やさずに済むでしょう。
特に、継続的に売掛債権が発生する業種にとっては、資金繰りを円滑に保つ有効な手段となります。
ファクタリングは単に資金を調達するだけでなく、資産のオフバランス化を図れるため、財務体質を強化することにもつながるのです。
流動性の高い資産である現金を増やしていけば自己資本比率を高められますし、結果的に借り入れ依存度を下げられます。
財務内容が健全化することによって、金融機関から新たな融資を受けられる可能性も高くなるでしょう。
すぐに資金調達が必要でなかったとしても、いざというときに資金を集めやすい環境を整えておくことは重要です。
手元資金を増やす
借り入れ依存度を低下させるためには、手元資金を増やしていくことも肝心です。
多少の値引きをしてでも在庫を減らしたり、無駄な経費を削減したりしてみましょう。
ただ、事業計画と照らし合わせた上で、時間をかけて計画的に取り組んでいく姿勢も大切です。
特に、経費削減は社内の理解も必要になる部分もあるので、中長期的な視点に立って進めてみましょう。
無駄な在庫を抑え、支出を抑制することによって徐々に手元資金を増やしていくことが重要です。
借り入れ依存度が低いほど、健全な企業として対外的な信用力も高まります。
借り入れ依存度は総資産に対する借り入れの割合を示しているので、できるだけ低く抑えるように努力していきましょう。
中小企業では50%を超えるケースが一般的であるものの、50%以下にすることを目指してみると財務体質を強化できるはずです。
ただし、業種によって目安となる基準は異なるので、競合他社や業界の動向を踏まえた上で適切に判断していくことが大切でしょう。
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この記事の執筆者:資金調達ニュース編集部
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保有資格:宅地建物取引士・日商簿記検定2級・ファイナンシャル・プランナー2級