銀行融資の金利の種類
銀行融資の金利には以下の2種類があります。それぞれの特徴について説明します。
変動金利
一定期間ごとに金利を見直して、金利が上下動する可能性があるタイプの金利です。
借入期間中の金利見直しのタイミングで基準となる金利(ベースレート)が改定されていれば、実際に適用される金利もそれに合わせて変わります。
変動金利では、最初に借入をするときに「ベースレート+○%」という形で金利が決まります。ベースレートは日銀が政策によって決めている市場の金利(政策金利)、景気動向、銀行の経営状況、各銀行が定めている短期プライムレート(1年以内の期間で融資をするときの最優遇金利)などを参考に決められます。○%の部分は、後述しますが、借入をする企業によって異なります。
なお、中小企業向けの銀行融資では多くの場合、この変動金利が適用されます。
固定金利
借入期間中、金利が一定で変わらないタイプの金利です。
金利は借り入れをする時点で決められます。借入期間中に市場金利などが変動しても固定金利は変わりません。将来、市場の金利が上昇すれば銀行が損をし、下降すれば融資を受けた企業が損をすることになります。
固定金利は借入の前に返済総額を把握できるため、返済計画を立てやすいというメリットがあります。返済変動金利よりも高く設定されることが多いですが、そうならないこともあります。
銀行融資の金利は一律ではない! 金利の相場とは
同じ銀行が行っている融資でも、借入をする企業によって条件は異なります。
とくに信用保証制度を利用せずに銀行から直接融資を受ける「プロパー融資」では、金利に明らかな差が生じます。
信用度の高い企業へのプロパー融資では、0.5%などの低金利に設定されることもあるようです。
関連記事:プロパー融資で資金調達するときのポイント
これに対し、一般的な企業に対して1~4%程度の金利が設定されることが多いでしょう(変動金利の場合)。プロパー融資では、銀行は貸し倒れリスクを自分たちで背負うことになるため金利の設定はシビアで、融資の可否を決める審査も慎重に行われる傾向があります。
信用保証付き融資の場合は、1.5%程度からそれ以上の金利となることが多く、3%を超えることもあります。また変動金利であることがほとんどです。信用保証付き融資では、万一、貸し付けを行った会社の業績が悪化するなどして返済不能になった場合には公的機関である信用保証協会が返済を肩代わりします。したがって銀行が信用保証を付けるのは、融資する企業にプロパー融資に応じるほどの信用力がないと判断した場合ということになります。全体に金利がやや高めなのはそのためです。
さらに、銀行のビジネスローンの場合は固定金利で3~9%程度になります。
参照:初めての融資と信用保証 | 一般社団法人 全国信用保証協会連合会
銀行融資の金利の下げ方
銀行の融資金利が決まる要素は、(1)調達コスト、(2)経費率、(3)収益率、(4)信用コストの4つといわれています。
このうち(1)~(3)はどの企業に融資する場合でも変わりません。いわば銀行側のみの事情で変わる部分です。しかし、(4)は貸し付ける企業に対する評価によって左右される要素です。
そのため企業の規模が大きく、経営状況や財務状態が良好であるほど金利は低くなります。
また、銀行は融資する企業を10~12段階で信用格付けします。
例えば、格付1~6は正常先、7~8は要注意先、9は要注意先(要管理先)、10は破綻懸念先、11は実質破綻先、2は破綻先などと分類されます。
正常先~破綻先というのは債務者区分と呼ばれます。格付による評価が高いほど金利は低くなります。
ほかには銀行の規模が大きいほど金利が低くなるという傾向もあります。
ただ、いずれにしろ、低金利での貸し付けを実現するには厳しい評価と審査をくぐり抜けなければなりません。金利を下げたければ信用格付けや債務者区分で高評価を得る必要があります。
そのためにはしっかりとした決算書を作成する、経営計画書などの資料をしっかりと添付するなどの方法が効果的です。決算日から逆算し、数カ月前から借入に有利な決算書を作るための対策を練って実行する方法も有効でしょう。
しかし、基本的には商品力を高め、市場でのシェアを拡大し、利益率を上げるといった企業としての基礎体力を高めていくことが最も強く求められます。金利を下げるのはそう簡単なことではないということは間違いありません。
関連記事:【自分の会社の信用は?】銀行融資で重要な「信用格付け」を徹底解説
プロパー融資と保証付き融資はどちらの金利が安い? 融資方法による違い
プロパー融資の一般的な金利は1~4%、信用保証付き融資の金利は1.5~3%と考えると、金利差はさほど大きくないようにも思えます。
しかし実際には、銀行からの信用度の高い企業であればプロパー融資の方が低金利になり、業績や格付けの評価が良くない企業はプロパー融資の金利が高く設定されるため、結果的に保証付き融資の方が低金利になる、という傾向があります。
また、基本的には借りるの企業側がプロパー融資か保証付き融資かを選べるケースは稀で、銀行がどちらにするかを判断して決定し、融資が実施されるという流れになります。
また、保証付き融資を外してプロパー融資に移行できなければ金利の交渉はできません。
保証付き融資となった場合は、返済実績を積み上げていくなど、まずプロパー融資に移行するための努力を行う必要があるでしょう。
まとめ
低金利で銀行から融資を受けるには、銀行からの評価を上げる必要があります。
金利の低いプロパー融資は審査も厳しくなり融資実行までの時間もかかります。
状況に応じてファクタリングやビジネスローンを利用するなど、ほかの資金調達方法も検討してはいかがでしょうか。
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