「リーズ」という保険業界の用語を聞いたことがありますか。保険代理店の中には、この「リーズ」を活用して営業活動を行っている会社が数多くあります。「リーズ」とはいったい何でしょうか。「リーズ」のメリット・デメリットなど以下、順を追って説明していきましょう。
保険の見込み客情報を入手できる「リーズ」とは
見込み客探しが仕事の9割、とさえいわれるのが保険業界です。
見込み客の新規開拓には、多大な苦労がつきものでしょう。
そのような中で、保険会社に見込み客を紹介・販売している会社があるのを知っているでしょうか。
このようなサービスを提供している会社を「リーズ会社」といいます。
そして、そこから入手できる保険見込み客の情報を「リーズ案件」といいます。
リーズ会社からリーズ案件を入手することにより、保険会社は新規開拓の手間と労力を大幅に削減することができます。
さて、いったいどのようなシステムで運用されているのでしょうか。
リーズ案件には、大きく分けて「買い取り型」と「折半型」の2種類があります。
以下、具体的に説明していきましょう。
買い取り型リーズ案件の特徴
買い取り型リーズ案件とは、どのような仕組みになっているのでしょうか。
まず、買い取り型のリーズ業者はアフィリエイトなどを使ってWebサイトから見込み客を集客し、集客した見込み客の情報を保険営業マンに販売します。
リーズ業者は見込み客の獲得に2万円ほどの経費をかけているので、たいていの場合、獲得した見込み客を3万円~10万円ほどの相場で保険営業マンに提供します。
保険会社は、この購入額を上回る報酬が見込めるプランをお客さんに提案して利益を図るというわけです。
この買い取り型リーズ案件のメリットは、見込み客に確実に会うことができること、そして商品を自由に販売できることでしょう。
保険業者にとって、見込み客の新規獲得にはたいへんな労力と骨折りがつきものです。
しかし、リーズ会社を利用すれば、手間も労力もなくして見込み客を見いだせるのです。
これは非常に大きな利点といえるでしょう。
一方で、デメリットは見込み客を選ぶことができないという点です。
中には、リーズ会社が申し込み特典として提供しているポイントや商品などを目当てに保険相談に申し込む顧客もいます。
このような見込み客が成約につながるというケースは、ごくまれでしょう。
もっとも、かつては商品券なども申し込み特典として提供され、高い集客効果を上げていましたが、2017年に施行された保険業法の改定によって、リーズ業者は商品券を申し込み特典として顧客に提供できなくなりました。
最近は、商品券の代わりに軽めのプレゼントを渡すだけにとどまっています。
保険業法の改正により、いくらかは改善されています。
しかし、依然としてプレゼント欲しさに保険相談をする客は存在しています。
このような客は、決して少なくはないでしょう。
成約するかどうか分からない見込み客の獲得のために、購入費用を支払わなければいけないのは、やはりデメリットと言わざるを得ません。
参考:金融庁|改正保険業法の施行後の保険代理店における対応状況等について
折半型リーズ案件の特徴
折半型リーズ案件は、買い取り型とは違い、先に購入費用を支払う必要がありません。
その代わり、契約された保険契約から支払われる報酬を折半するというものです。
折半の割合は、事前の契約で定められたものによります。
この折半型のメリットは、成約しなければ費用が発生しないという点です。
費用の払い損がないことは大きな利点でしょう。
一方、デメリットはリーズ会社の意向によって販売できるものに制約がかかってしまうという点です。
折半型は、リーズ会社と保険会社の両方が保険代理店となるため、二社で共同募集という形を取ることになります。
そのため、連携している会社の意向もきちんと汲み取って保険商品を販売しなければいけないのです。
まさに二人三脚の販売となるため、場合によっては、自社の方針に則って顧客に対応することさえ難しくなることもあるでしょう。
リーズの活用方法
リーズ案件は「買い取り型」「折半型」共に、1カ月10件・20件という形で契約します。
案件は定期的に供給されるので、スケジュール管理の点で非常に便利でしょう。
また、リーズ案件を受け取った時点で、見込み客の名前や住所、生年月日などが把握できているので商談の準備も非常にしやすくなります。
ただし、上述した通りデメリットもそれぞれにあるので、自社の状況に合わせてリーズ案件を検討すると良いでしょう。
たとえば、見込み客が足りないときだけスポットで利用する、という利用方法は非常に有効な手段です。
保険業界において、見込み客探しはもっとも重要な仕事です。
この大切な仕事をまったく外部に任せてしまうのではなく、自社の必要に合わせてバランスよく活用するのです。
自社の営業力も養いながら、程よくリーズ案件も組み込んでいきましょう。
リーズ会社を利用するなら、見込み客の新規開拓は不要になるでしょう。
ただし上述の通り、費用や見込み客の質などの点で注意すべきポイントもありました。
リーズ案件のメリット・デメリットを考慮して上手に活用すれば、会社のさらなる活性化につながるでしょう。
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