中小企業の資金調達に補助金・助成金は活用できる?
中小企業にとって企業を経営していく上で資金繰りというものは非常に重要な問題です。
どの部分にどれだけのお金を割くのかなどの内訳もさることながら、そもそもどこからお金を調達するのかなど、資金調達では常に頭を悩ませている中小企業も多いでしょう。
中小企業が資金調達をするためには、さまざまな方法があります。創業間もない中小企業なら創業融資などの方法もありますが、それも期間が決まっているのでいつまでも頼るわけにはいきません。
このほかでいえば、融資や個人投資家からの投資を受けるなどの方法もありますが、もちろんデメリットもあるので慎重になる必要があります。
その中で、お薦めの資金調達の方法として、中小企業が申し込める補助金・助成金を活用するという方法があります。補助金・助成金には、中小企業を対象としたものが数多くあります。
補助金・助成金とは
補助金・助成金とは、国や地方自治体が運営して給付する金銭のことです。
国や地方自治体が掲げる政策目標を達成することに貢献する事業を行われる際に、その事業者に対して事業を補助する目的で支払われます。国や地方自治体は、中小企業の運営が活性化し拡大することにより、より経済が活性化することを目指しています。
そのため、中小企業に対して、運転資金や設備資金、雇用促進・人材育成など、さまざまな用途に対して補助金・助成金を行っているのです。
中小企業を対象とした補助金・助成金を受給するためには、さまざまな条件がありますが、もっとも必要な条件は、資本金や従業員数など中小企業の条件を満たしていることです。
関連記事:起業時に活用したい補助金・助成金を紹介
中小企業が補助金・助成金で資金調達するメリット
中小企業が行う資金調達の方法としては、銀行融資や公的機関などからの借り入れ、個人投資家からの投資を受けるなどの方法も広く使われています。
補助金・助成金による資金調達は、これらの方法とはさまざまな違いがあり、多くのメリットがあります。
企業イメージが向上する
補助金・助成金を受けていると、企業イメージが向上するというメリットがあります。補助金・助成金は国や地方自治体が行うものであるため、高い信用性があります。
それを受け取れているということが、企業イメージに良い影響を与え、売り上げの向上や、新たな資金調達の道を確保することにつながる可能性も高まるのです。これがメリットの一つです。
返済が不要である
補助金・助成金を受けることの最大のメリットは、返済が不要であるということです。
銀行や公的機関などから借り入れを受けることによって資金調達をすると、いわゆる借金となります。いくら低い金利で借り入れることができたとしても、いずれは金利を含めて返済しなければなりません。
しかし、補助金・助成金の場合、その必要性はありません。補助金・助成金は、基本的に事業の一部や全額を後払いで補助するものであり、返済義務は負わなくて良いのです。
中小企業が補助金・助成金で資金調達するときの注意点
補助金・助成金を活用できるからといって、すべての資金調達をそれで賄うことはできません。また、デメリットが全くないわけではないので注意が必要です。
補助金・助成金を受給する際に注意すべきポイントを紹介します。
補助金・助成金を受ける際の注意点の一つは、後払いであるということです。
基本的に補助金・助成金は、定められた事業が終わった後に支払われる後払いの制度です。そのため、資金繰りについて考慮しながら事業を展開する必要があります。
また、申請手続きには手間や時間がかかることもあれば、補助金の場合は申請しても必ず採択されるとは限りません。こちらも注意が必要なことです。
補助金・助成金には、目的があり、その目的に事業内容が沿っていなければ支給されません。それを審査するために申請手続きが必要であり、事業計画など、さまざまな書類を制作する手間や時間がかかり、申請が通るまでに事業終了後半年以上の期間がかかる可能性もあります。
さらに、助成金の場合は資格要件を満たせば受けることができますが、補助金の場合は全企業が受けらえるわけではありません。数や金額に限りがあり、事業内容や社会的意義を説明して、その権利を勝ち取ることが必要です。
必ずもらえると考えて、無計画に事業を進めてしまうと、後悔することもあるので注意しなければなりません。
関連記事:助成金の申請時・受給後の注意点
中小企業が利用できる主な補助金・助成金
一口に補助金・助成金といってもさまざまな種類があります。目的に沿った補助金・助成金の情報を探すには、中小企業庁のサイトやガイドブック、支援機関に頼ることが勧められます。
代表的な補助金・助成金をいくつか紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者を対象にした補助金であり、申請に当たって作成した経営計画に基づいた販路拡大などの取り組みに対して、50万円以下の補助金が出ます。
また、商工会議所からの指導や助言を受けることも可能です。
公式サイト:小規模事業者持続化補助金(一般型)
ものづくり補助金
生産性向上に貢献する革新的なサービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善などを行うための設備投資を行う中小企業に対して、その資金の一部を補助する補助金です。
国際的な社会情勢の変化に対応することを目的としており、上限は1000万円まで、事業種類により3種類に分かれます。
公式サイト:ものづくり補助金総合サイト
下請自立化補助金
二つ以上の特定下請事業者が連携して、新たな事業活動をし、下請事業者の特定企業に対する依存状態を改善する働きをした場合に行われる補助金です。
活動により、販路拡大や官公庁からの受注、下請取引のあっせんなどを行った場合には、最大2000万円までが補助されます。
公式サイト:中小企業庁|下請自立化補助金
創業補助金
新たな需要や雇用創出を目的として、新たに創業する場合に、創業にかかる経費の一部を補助するものです。
なお特定創業支援事業を受け、事業完了日までに従業員を1名以上雇い入れなければなりません。
参照:創業助成金(東京都中小企業振興公社)|融資・助成制度
特定求職者雇用開発助成金
高年齢者や障害者などの就職困難者をハローワークなどの紹介を経て、継続して雇用する労働者として雇い入れた場合に支払われる助成金です。支給額は対象労働者と企業規模、対象期間によって異なります。
公式サイト:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) |厚生労働省
キャリアアップ助成金
非正規労働者の企業内でのキャリアアップを促して、正社員化や処遇改善に取り組んだ事業に対して支払われる助成金です。
優秀な人材を確保することを目的とし、取り組みによりさまざまなコースに分かれています。
公式サイト:キャリアアップ助成金|厚生労働省
まとめ
中小企業にとって、常に課題となる資金調達ですが、補助金や助成金を活用することがおすすめされます。
補助金・助成金は、後払いや申請の手間などのデメリットもありますが、そのほかの資金調達とは異なり、返済不要で非常に有用な資金調達方法です。
さまざまな種類の制度があるので、自社の事業内容に合ったものを賢く活用しましょう。