どこから補助金・助成金の支援を受けられるのか
補助金と助成金はどこから交付されるのかご存知でしょうか。
まず、補助金は主に経済産業省が提供しています。地域創造的起業補助金、小規模事業者持続化補助金などが経産省から交付される補助金です。
これらの多くは創業支援や設備投資に対して支援するという趣旨のものです。
一方、助成金は主に厚生労働省が提供しています。こちらは雇用の安定や職場環境改善にかかわるものがほとんどです。キャリアアップ助成金、特定求職者雇用開発助成金、生涯現役起業支援助成金などがあります。
なお、補助金は一般的に受給要件を満たした上で審査を受ける必要があるものをいいます。これに対し、助成金は要件を満たせば誰でも受給できます。補助金も助成金も、融資とは違って返済の義務はありません。
国が提供する補助金・助成金以外には、各都道府県もスタートアップや開業支援の助成支援制度を行っています。また、中には民間企業が提供する補助金・助成金もあります。
起業時に活用したい補助金・助成金
具体的に、起業時に役立つ補助金・助成金の例を紹介します。それぞれ特徴が異なるので整理しておきましょう。
地域創造的起業補助金
新たに創業する者に対して創業などに必要な経費の一部を助成する補助金です。補助金額は、外部資金調達がない場合は50万円以上100万円以内、外部資金調達がある場合は50万円以上200万円です。つまり、銀行などから融資を受けられるほどの信頼性のある事業計画であれば200万円まで補助金が出る可能性があるということです。
補助金を受けるにはさまざまな要件がありますが、特徴的なのは認定市区町村で創業しなければならないことです。また、その認定市区町村などが実施する認定特定創業支援事業(起業家向けの研修プログラム)を受けることも条件です。
公募期間は、毎年4月から5月にかけて。事業計画書などを提出して審査を受けます。採択率は毎年15%前後ですが、トライしてみる価値のある補助金です。
公式サイト:中小企業庁|令和5年度「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金」の公募について
小規模事業者持続化補助金
従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)などの小規模事業者を対象に、販路拡大に必要な資金の一部を負担してくれる補助金です。補助金額は50万円以内で、補助率は経費の3分の2までです。販路拡大に必要な経費とは、例えばホームページ作成、看板・チラシ作成、移動販売車・内装の改装、新商品の開発などに使う費用が該当します。
申請の際は、「事業支援計画書」(すべての事業者)もしくは「事業承継診断票」(代表者が60歳以上のすべての事業者)の作成・交付を、地域の商工会議所に依頼しなければなりません。これらの書類を、最寄りの商工会議所の相談員からの助言と支援を受けながら作成し、日本商工会議所か全国商工会連合会の事務所に送付して審査を受けます。
この補助金は申請の流れや補助金の使い方に関して細かい決まりがあるので少々面倒ですが、正しく申請すれば採択率は高いほうです。
公式サイト:商工会議所地区|小規模事業者持続化補助金(一般型)
キャリアアップ助成金
非正規社員の正社員化、賃金規定の改定、健康診断制度の導入などに取り組み、非正規雇用労働者の地位や処遇の向上などを行った事業主に対して支給される助成金です。
平成30年度におけるキャリアアップ助成金の場合、正社員化コース、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コースの7コースがありました。
申請するには「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」 に沿った「キャリアアップ計画」を作成しなければなりません。またこの助成金を受ける際、「生産性要件」を満たしている場合は助成金の割増しなどが行われます。これは助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」がその3年前に比べて6%以上伸びていることなどが要件となっていて、生産性要件算定シートを用いて計算できます。
公式サイト:キャリアアップ助成金|厚生労働省
ものづくり補助金
中小企業・小規模事業者が取り組む、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などの経費の一部を助成する補助金です。認定支援機関と連携した制度で、同機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模事業者が補助対象者となります。
対象事業は「ものづくり技術」と「革新的サービス」トの2つの類型に分かれています。さらに補助金の支援内容には「企業間データ活用型」、「一般型」、「小規模型」の3つの事業類型があり、実施する事業によって1つを選択して申請します。補助金の最大額は1,000万円です。
公式サイト:ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
助成金・補助金を活用するときの注意点
助成金も補助金も、基本的に前払いではなく後払いです。そのため、これらを活用する際はまず自分で資金を用意しなくてはなりません。
助成金の場合は資格要件を満たすことを証明する書類を、補助金の場合は事業に資金を使ったことを証明する書類を用意して提出し、認められるとお金が支払われるという流れになります。また、会計検査院などによる不正受給検査もあるので注意してください。
助成金は自社にあったものを
自分の企業の目的に合った助成金を選び、うまく活用することが大切です。
現在の経営状況や助成金を申請する目的をしっかり整理して、最も適切な方法を選ぶようにしましょう。