カードローンは使い方一つで生活を豊かにも窮屈にもします。借り過ぎないに越したことはありませんが、やむを得ず溜まってしまった借金に対しては正しく対処することが重要です。
今回はカードローンの借入金を早く返済するポイントを紹介します。
カードローンの借金は少しでも早く完済した方が良い理由
銀行や消費者金融などカードローン商品をリリースしている金融機関は、ボランティアや利用者支援の目的でお金を貸し付けているというわけではありません。
カードローンの返済には金利が付随しており、この金利が金融業者にとっての利益になるのです。
支払う金利の金額は返済期間が長引けば長引くほど大きくなっていきます。
カードローンの返済方式にはさまざまなパターンが存在していますが、現在主流になっているのは「残高スライドリボルビング方式」と呼ばれるものです。
そして、この返済方式がカードローンの使い方において重要な鍵となります。
残高スライドリボルビング方式
残高スライドリボルビング方式とは一般的にリボ払いと呼ばれる支払い方法の一種であり、借入総額に応じて段階的に返済額が決まる仕組みです。
一般的な分割払いでは返済期間が定められているのに対して、リボルビング払いでは残高がなくなるまで返済が継続することになります。
この返済方法は毎月の返済額が低く設定されているので月々の負担を抑えられるというメリットもありますが、その分返済期間が長引いてしまいがちになるのです。
まずはすべての借入状況を正確に把握しよう
カードローンの返済をスムーズに行うためには、借入状況を正確に把握しておくことが重要です。
複数の金融業者から借り入れをしている場合には、借入先と金額をリストアップしておきましょう。
それぞれに返済方法や月々の返済額が異なる場合が多いので、予期せぬ返済トラブルを避けるためにも自分の目に付きやすい場所にまとめて書き出しておくなどすると安心です。
長期的な目線からは「完済予定はいつ頃なのか」「金利を含めた返済総額がいくらになるのか」ということを確認しておきましょう。
完済予定日を把握してゴール地点を見据えておくことで、メンタルに余裕を持つことができるでしょう。
また、月々の返済額だけに着目して返済を続けていると、自分が思っていたよりも元本が減っていないという事態に陥ってしまうでしょう。
自分が置かれている状況を正確に把握するためには、毎月の支払いのうち金利はどれくらいの割合を占めているのか、最終的にどのくらいの金利を負担することになるのかなどを意識しておくことが重要です。
関連記事:カードローンの仕組みを簡単に紹介
借金返済における注意点
カードローンは自分の収入など返済能力に合わせたペースで返済を進めていくことができます。
しかし次に説明するような方法や考え方はリスクがあるため注意が必要です。
時効になるのを待つ
借金が膨らみすぎて追い込まれてしまうと、普通では考えないような考えに及んでしまう危険性があります。
例えば「借金を返済しないで済む方法はないか?」などという考えです。
借金には時効が定められており業者からの借り入れは5年、個人間の貸し借りでは10年間に設定されています。
所定の期間が経過してから債権者に「時効援用通知書」を内容証明郵便で送付することで、借金を返す義務を帳消しにすることが可能なのです。これを「消滅時効の援用」と呼びます。
消滅時効の援用を利用すれば、一見5年間でカードローンの返済を帳消しにできるように見えるでしょう。
しかし「時効の中断」という手続きもあるのです。債権者が裁判上の請求を行うと時効までの経過期間がリセットされて振り出しに戻ることになります。
また、時効が成立して返済の義務がなくなったとしても、個人信用情報に金融事故履歴として傷が残ってしまいます。
所謂信用情報がブラック状態になってしまうので、新たな借り入れやショッピングローン、クレジットカードの発行審査に影響を及ぼしてしまうのです。
関連記事:カードローンの借り入れ履歴と信用情報の関係
安易におまとめローンを利用する
複数の金融業者からカードローンなどの借り入れがある場合、それらを返済するために新たに借り入れを行うという方法もあります。
これは「借り換え」「おまとめローン」などと呼ばれる返済方法です。
金融業者によってはおまとめローン専用の商品もリリースされています。
おまとめローンでは複数社への返済を一本化できるので、返済日を1日にまとめて毎月の支払い額を抑えることが可能です。
また、利息制限法という法律によって100万円以上の貸し出しは金利の上限が15%までと定められています。
借り入れていたカードローンの金利が15%以上だった場合には、おまとめローンによって金利を低くなるケースもあるのです。
ただし、おまとめローンによって複数の借金を一本化するということは、毎月の返済額が少なくなるということでもあります。一見毎月の負担が減る上に金利が安くなるので魅力的に見えますが、その分返済が長引いてしまうのです。
最終的に払う利息の合計額が増えてしまう可能性が高いので、おまとめローンを利用する際には返済計画の見直しが重要です。
ボーナスで返済する
クレジットカードなどのショッピングローンではボーナス時期まで支払いを延期して、ボーナスで一括もしくは2回に分割して支払う「ボーナス払い」という方法が利用できる場合があります。
カードローンでは基本的にボーナス払いは利用できないので、普段は最低返済額で支払いを続けてボーナス時期に増額して返済するという方法が一般的です。
しかし借り入れの際にボーナスをあてにすることは危険といえます。
その年における会社の業績や個人成績がボーナスの支給額に影響する場合、貰える金額が思ったよりも少なかった、支給されなかったなどのケースも珍しくはありません。
不確定な要素を返済予定に組み込んでしまうと、予期せぬトラブルで返済が長引く原因となってしまいます。
関連記事:カードローンの危険性とは?利用しない方が良いケースについて解説
カードローンで溜まった借金を早く返済するコツ
カードローンは「お金を借りている」という意識が薄れがちになり、何となく利用していると返済がいつまで経っても終わらないということもあります。
できるだけ早く借金を完済するために大切なポイントを押さえておきましょう。
金利の高いものを優先して返済する
複数のカードローンを利用している場合には、返済を進める優先順位をつけるようにすると良いでしょう。
金利が高いカードローンは支払いが長引くほど利息がかさむので、優先的に返済を進めると効率的です。
他のカードローンは最低返済額で支払いを続けて、金利の高い商品を増額して返済するなどしましょう。
繰り上げ返済する
カードローンの返済は毎月決められた返済日に支払う「約定返済」と、利用者が任意で支払いを行う「繰り上げ返済(任意返済とも呼ばれる)」があります。
約定返済のリボ払いのみで返済を続けていくと、最終的に余分な利息を支払ってしまうことにもなりかねません。
お金に余裕があるタイミングで繰り上げ返済を行うことで、効率的に元本を減らすことが可能になるのです。
なお、利息の計算は毎月締め日に行われるので、効率的に元本を減らすにはその月の締め日が来る前に繰り上げ返済を利用しましょう。
生活に支障が出ない範囲で積極的に繰り上げ返済を利用することが、カードローンの借金を早く返済するために重要なポイントといえます。
返済日を把握し確実に返済する
毎月決められた日に返済する約定返済は、支払いが遅れてしまうと遅延損害金が別途加算されます。
一般的なカードローンでは遅延損害金の利率が年20%に設定されていることが多く、支払いが遅れれば遅れるほど遅延損害金が高額になっていきます。
利息制限法で定められた貸し付けの金利上限が18%であることを考えると、遅延損害金の利率20%は手痛いペナルティであると実感できるでしょう。
返済の遅延は信用情報機関にも登録されてしまうので、今後のことを考えても約定返済の期日を守って支払いを継続することは重要です。
関連記事:カードローンで借りられる上限はどのくらい?
借金の総額や月々の返済額を減らせる? 債務整理とは
借入金が膨らんでしまい、どうしても生活が立ち行かなくなってしまった場合には「債務整理」という手続きを視野に入れましょう。
債務整理とは法的手続きを以って借金の減額や返済義務の免除を行うもので、「任意整理」「特定調停」「民事再生」「自己破産」の4種類があります。
それぞれにメリットやデメリット、利用する人の向き不向きがあるので正しく理解しておきましょう。
任意整理とは
任意整理とは裁判所を介さずに債権者との和解を目指す方法で、依頼先の弁護士や司法書士に債権者との交渉にあたってもらいます。
将来利息や遅延損害金のカットが主な目的であるため、大幅な借金の減額は望めないということに留意しておきましょう。
比較的軽度の債務を処理するのに向いている手法です。
特定調停とは
特定調停は任意整理に似ていますが、簡易裁判所を介して債権者と交渉を行うという点で大きく異なります。
こちらも毎月の弁済額や将来利息のカットが主な目的です。
また、申請者自身が裁判所に申し立てを行うため、弁護士費用がかからないこともメリットといえます。その分、手続きに関する知識や手間隙が必要になる点がデメリットです。
また、裁判所を介した和解案に従って返済を行うので、調停後に再び返済が滞ってしまうと財産差し押さえの可能性もあります。
民事再生とは
民事再生は裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に減額するための手続きです。
減額幅は借金の額にもよりますが、基本的には元本を5分の1~10分の1程度まで減らすことが可能です。
民事再生では財産を保有したまま借金を減額できますが、政府が発行している「官報」という広報誌に名前が載ってしまう点がデメリットといえるでしょう。
官報は比較的容易に閲覧できるので、金融業者が官報を入手してセールスに利用するケースもあるのです。
自己破産とは
債務整理の中で最終手段ともいえるのが自己破産です。
自己破産では裁判所に申請して借金全額の支払い義務を免除してもらいます。
大掛かりな手続きになるので、審査条件も比較的厳しくなります。
住宅や車など価値のある財産を所有している場合には没収となるので注意しましょう。
なお、財産没収のある自己破産を「管財事件」、処分する財産がない場合の自己破産を「同時廃止事件」と呼びます。
まとめ
余計な利息を支払わないためにも、カードローンの返済はなるべく早期に完済することが望ましいです。
生活と返済のバランスを見極めながら、繰り上げ返済をうまく活用していきましょう。
やむを得ず返済できなくなってしまった場合には、専門家の力を借りるなどして債務整理を検討することも必要です。
事態が深刻化する前に行動を起こしましょう。