当サイト資金調達ニュース.comは、金融専門用語の解説や、事業者様の資金繰りに関するお悩み解決をサポートすることを目的に、運営を行っています。当サイト内での情報提供にあたっては、法務省や国税庁等の公的サイトや、各金融事業者が公式に発表している内容に準じて作成したコンテンツを使用しています。
会社を相続するときに気を付けたいポイント
会社経営者が亡くなったときには、故人が所有している会社の権利の一部が相続の対象になることがあります。
会社の相続に関する基本的な知識と気を付けたいポイントを正しく知り、会社相続でトラブルにならないよう準備しておきましょう。
相続倒産に注意! 会社経営者の遺産相続とは
経営者と一口にいっても、個人事業主と法人経営者の2種類に大きく分けることができます。
この違いによって相続の対象が異なるので、被相続人がどちらなのかを押さえておきましょう。
被相続人が個人事業主の場合
被相続人が個人事業主の場合であれば、事業における資産も含めた被相続人の全資産が相続対象となります。
これは、個人事業主が行っている事業およびそれにかかわる資産はすべて個人事業主のものとして扱われるからです。
被相続人が法人経営者の場合
一方、株式会社や有限会社など、法人企業の経営者であった場合は、事業における資産は相続の対象とはなりません。
なぜならば、会社は経営者の所有物ではなく、法人のものとして見なされるからです。
故人が持っていた個人的な資産は相続対象となるので、持ち株があればそれは相続対象となります。
しかし、社長や代表取締役などの経営者としての地位は相続の対象とはなりません。そのため、後継者を誰にするのか、どのように相続を行うのかを生前のうちから計画的に進めておく必要があります。
計画的に相続を進めなかったせいでトラブルが起こり、事業に支障を来たしてしまうと、最悪の場合相続倒産にまで追い込まれてしまいます。
せっかく築き上げてきた会社を相続問題で危機にさらすことがないように、万が一に備えることが大切です。
債権や負債も相続財産
相続に関して見落としがちなのが、債権や負債などの負の資産も相続対象になるということです。
被相続人が個人事業主であれば、事業の中で発生した負債などが負の資産として挙げることができるでしょう。
また、被相続人が法人企業の経営者だったとしても油断できません。会社は法人のものなので、会社が抱える負債がそのまま相続の対象になることは基本的にはありませんが、社長だった被相続人がその負債の連帯保証人となっていた場合は、話が別です。
被相続人が連帯保証人であった場合はその負債も相続の対象となるので、相続は慎重に行う必要があります。負債を背負うことになっても相続する価値があるのかどうか、冷静に見極めるようにしましょう。
会社の相続で気を付けたいポイント
個人事業主の相続の場合は、基本的な相続とあまり変わりがありません。しかし、株式会社や有限会社の相続となると、そういう訳にはいかないものです。
株式会社・有限会社の相続でトラブルになりやすいポイントを押さえて、会社の相続に備えましょう。
事業承継を進めておく
会社における相続トラブルを回避するためにまず必要なのが、後継者を事前に決めておき、事業承継をしっかりと進めておくことです。
後継者を誰にするかを決めたら、後継者への株式集約を段階的に進めていきましょう。
生前のうちから株式を後継者に集約しておくことで、他の相続人に株式が分割で相続されることを防げます。
また、現経営者の死後、後継者が新経営者に就任する際に、他の株主によって妨害されることもなくなります。名義株についても整理しておくと良いでしょう。
さらに、株式集約と同時に経営理念や事業のノウハウなど、円滑に経営を進めるために必要なことに関してもきちんと説明しておきましょう。
無事に相続が完了したとしても、経営者が変わった途端に経営不振に陥っては元も子もありません。経営する上で何が重要か、不備がないように伝えておくことが大切です。
遺言書を作成しておく
後継者を定めて事業承継をしっかり行っておいたとしても、後継者が誰にするのか正式な形で意思表示しておかなければ、後継者が思い通りに会社の経営をできない可能性があります。
そのような事態を防ぐために必要なのが遺言書です。
株式会社であれば社長は株主総会で決められるため、遺言書で直接的に後継者を指定することは難しいでしょう。
しかし、持っている株式を後継者に相続する旨を遺言書に残すことは可能です。
後継者が株主総会で選ばれるように株式を相続させ、後継者以外の相続人には後継者を代表取締役に選出するよう希望を書いておけば、後継者が社長に選ばれやすくなります。
遺言書は何度でも書き直しが可能なため、定期的に見直して常に最善な状態になるようにしておきましょう。
また、第三者によって変造や破棄などが行われないように、公正証書として遺言を残すと安心です。遺言書の作成方法について分からないことがあれば、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談すると良いでしょう。
【参照】
遺産放棄したい場合は3カ月以内に手続きする
会社に多額の負債があったり相続税が払えなかったりなど、何らかの理由で相続を放棄したい場合は、相続が発生した3カ月以内に相続放棄の手続きを行う必要があります。
故人が亡くなって3カ月以内が相続放棄の期限だと勘違いしがちですが、あくまで故人が亡くなったことを知った日から3カ月以内です。
もし、3カ月以内に放棄の手続きをしなかった場合、強制的に負債を相続させられることになるので注意しましょう。
また、不動産や預貯金などの遺産を少しでも相続してしまうと、相続放棄が不可能になるので、相続すべきかどうか慎重に判断する必要があります。
会社の相続は生前からの入念な準備が大切
会社の相続には、個人的な相続とは違った難しさがあります。そのため、生前から入念に準備しておくことが何より大切です。
相続によるトラブルが原因で会社が倒産に追い込まれるような事態を防ぐためにも、この記事を参考に相続対策をしっかりとしておきましょう。

この記事の執筆者:資金調達ニュース編集部
資金調達ニュースは経営者様の資金調達に関するお悩みを解決するために
「ファクタリング」などの資金調達に関する情報やノウハウを提供する
資金調達情報サイトです。
資金調達ニュース編集部ではこれまでに100本以上のハウツー記事をお届けしております。
資金調達でお悩みの経営者様のお役に立てますと幸いです。
保有資格:宅地建物取引士・日商簿記検定2級・ファイナンシャル・プランナー2級
運営者情報
おすすめの資金調達企業
-
従業員に事業継承を行う際の課題とは
中堅企業や中小企業の事業承継では、かつては子供などの親族が後継者になるというケースが一般的でした。 しかし現在では従業員の中から後継者を選び、事業を承継するという方法が一般的になりつつあります。 この...
-
どちらが安い? 相続税と贈与税の特徴を分かりやすく解説
相続税と贈与税にはさまざまな違いがあります。贈与(生前贈与)は相続税対策として活用できるとよくいわれますが、そもそも両者の違いについての知識がないと効果的な節税はできません。 それどころか、節税のため...
-
事業承継で起こりやすいトラブルと対策
中小企業では事業承継に際してさまざまなトラブルが起きる可能性があります。トラブルが深刻化した結果、廃業へと追い込まれる会社も少なくありません。 事業承継で起こりやすいのはどのようなトラブルなのか、その...








