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建設業における手形支払いで起こりうるリスクとは
建設業で下請の代金を支払う場合、手形取引を行うことが多いでしょう。
そこで、具体的な取引の特徴をはじめ、リスクなどもまとめました。
また、リスク回避の方法についても紹介しているので、請負代金支払いの方法について悩んでいる方は参考にしてください。
目次
建築業における手形取引の特徴
一般に工業製品などの下請取引には、「下請法」が使用されます。
しかし、建築業界の取引には「建築業法」という特別な法律が適用されています。
これは、建設工事の請負契約を定めて、発注者・受注者を保護するための法律です。
建設業を営む者の資質の向上を目指し、建設工事の適正な施工を行う、また建設業の健全な発達の促進、公共福祉の増進に寄与するという目的もあります。
本来、下請代金の支払いは工事終了と同時に行われるべきとされています。
しかし、工事が長期に渡ると資材や従業員への支払いなどに当てる資金が不足してきます。
そこで、建築業法では前払金制度や部分払制度を活用して、迅速かつ適正な支払いが行われるよう定めています。
特定建築業者の場合には支払いに当たっての注意点がいくつかあります。
工事1件あたりの下請代金が3,000万円以上、一式工事の場合は4,500万円以上の施工を許可された建設業者を特定建築業者といいます。
具体的には、一般の建築業者に下請を発注した場合、引き渡しの申し出日より50日以内に代金を支払う必要があります。
遅延すると利息が発生することはもちろん、取引先のことを考えて早めに支払うようにしましょう。
また、一般の金融機関での割引が困難になる手形交付が禁止されています。手形期間が120日超の長期手形などの使用は控えましょう。
その時の金融情勢、元請負人・下請負人の信用度、手形の支払期間などにより割引の難しさは左右されます。
将来的には手形を使用する場合に60日以内の支払期間になるよう努力する、という内容も建築業法に追加されています。
建設業における手形支払いで起こりうるリスク
手形の支払いには受取人、振出人にそれぞれリスクがあります。それらを理解した上で使用するようにしましょう。
受取人のリスク
振出人が倒産してしまった場合、手形は不渡りとなります。そのため、代金を回収できない可能性があります。
手形は現金化するまでに期間があるため、資金運用のスピードが遅くなってしまうという短所もあります。
決算などの時期に入金が間に合わないと、資金調整にも苦労します。
振出人のリスク
不渡りを2回出してしまうと、事実上の倒産となってしまいます。そのため、支払いは絶対に期日内に行いましょう。
建築業法で定められた期間より支払いが遅れると、遅延利息が発生します。高額な利息なので、倒産が免れたとしても厳しいペナルティとなります。
リスク回避! 手形取引の多い建築業だからこそ現金が重要
平成28年度12月に改正された建築業法では、下請代金の支払いを現金で行うよう推奨しています。
これは、中小の建築企業を応援するために追加された内容です。
また、信頼関係が構築される前の新規取引では、手形取引よりも現金取引を利用することが多いでしょう。
そのため、近年では下請けへの支払いや資材調達のために、ファクタリングで資金調達するケースが多くなっています。
ファクタリングとは、保有している売掛金を専門の企業に受け渡し、売掛金の受け取り期間よりも先に現金化してもらうシステムです。一般的に利用されることの多い、2社間でのファクタリングについて紹介します。
2者間ファクタリングとは
まず、2社間でのファクタリングでは売掛先に債権を売却したことを知られることはありません。
そのため、取引先との関係や企業の評判も良好に保つことができます。
当然、手数料はかかりますが、早急に資金が必要になった場合に役立つでしょう。
取引先が倒産してしまったときのリスク対策にもファクタリングは向いています。
2社間のファクタリングでは、ファクタリング企業側の償還請求権がない場合がほとんどです。
そのため、売掛先が倒産した場合でもある程度の資金を回収することができます。
関連記事:ファクタリング契約後に売掛先が倒産した場合の対応方法とは
また、銀行融資のように返済の負担が発生しないという特徴もあります。
将来的に受け取る予定の収益を事前に現金化するというシステムなので、利用しやすいでしょう。
審査の仕方も融資と異なっているため、資金調達が行いやすいです。借り入れ経歴や資産状況を重視する銀行と比べ、取引先との関係性が重視されます。
また審査のスピードも早いため、緊急時にも便利です。
信用情報に関与されないため、今後の取引や融資においてもマイナスな要因を作らずにすみます。
一方で手数料の高さや調達可能金額の限界などもあるので、売掛金以上の金額が必要なときや現金調達したい期間に余裕がある場合は銀行の融資をお勧めします。状況に合わせて、使い分けると良いでしょう。
まとめ
建築業の手形取引では下請法ではなく建築業法が適用されます。
一つの仕事に掛かる時間が長いため、他の取引とは異なった法律が必要になります。
手形取引は受取人にも振出人にもリスクがあり、信用を得るために現金取引が必要になることもあるでしょう。
取引に現金が必要になった場合は、ファクタリングを利用してみてはいかがでしょうか。
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