銀行融資を利用していると新規の銀行などから「借り換え」の提案を受け、対応に迷うことがあります。この借り換えの話にはすぐにでも乗るべきなのか、それとも慎重に考えるべきなのかは、借り換えにおけるメリットとデメリットを知ることで分かります。借り換えにはどのような選択肢があるのかも踏まえて、借り換えについて考えていきましょう。
ここでは下記3つについて徹底解説をしていきます。
・銀行融資の借り換えを検討するときのポイント
・銀行融資の借り換え方法
・銀行融資借り換えのメリット・デメリット
ぜひ、最後までご覧ください。
銀行融資の借り換えは慎重に決断しよう
借り換えとは、現在利用しているローン(借入)を解約し、その分のお金を別の低金利のローンで新たに借り直すことを指します。
たとえば、A銀行からの借入が3,000万円(金利2.5%)、B銀行からの借入が2,000万円(金利2.2%)、という状況の会社があったとします。
そこへ新規のC銀行から「A銀行の借入3,000万円の借り換えとして、3,500万円の融資を金利1.8%で受けませんか?」などと持ち掛けられることがあります。
または、「A銀行とB銀行の借入をまとめて返済し、5,000万円の低金利融資に乗り換えませんか?」といった提案をされるケースも考えられます。
こちらは銀行よりもノンバンクが扱っていることが多い「おまとめローン」と呼ばれるものですが、おまとめローンも借り換えの一種といえます。
新規の銀行や金融機関からこうした申し出があった場合、条件が良くても、すんなり受け入れてしまってよいのか迷うでしょう。
実のところ、借り換えにはデメリットもあります。
デメリットのうちもっとも大きいと思われるのは、最初に借入れていた「取引中の銀行」との関係が悪化する可能性があることです。
ほかの金融機関から好条件での借り換えをすすめられたとしても、すぐに話に飛びついてしまうのは避けた方が無難です。
借り換えによるメリットとデメリットの両方について考えながら、慎重に検討する必要があります。
借り換えを検討するときのポイント
借り換えを検討するときには、いくつか確認しておくべきポイントがあります。
まず、借り換えをするなら、新しい借入は現状の借入よりも低金利(低利息)でなくては意味がありません。
また、借り換えには借り換え手数料などの諸経費がかかります。
その諸経費を含めて、返済総額がどれくらい少なくなるかをチェックしておく必要があります。
また、借り換えをした結果、取引中の銀行から今後、融資を受けられなくなっても大丈夫なのか、新しい銀行がどれくらい頼りにできるのか、いざというときのためのその他の資金調達方法が確保できるのかどうかも、検討してみるべきです。
取引中の銀行との付き合いが長く、メインバンクといえるような銀行であれば、これまでの関係を反故にしても今後の資金調達が成立するのかを考えておかなくてはならないでしょう。
取引中の銀行との関係を切ってしまうのはリスクが大きいと感じるが、新しい銀行からの申し出を断るのも惜しいと迷う場合は、取引中の銀行と交渉をしてみる方法も残されています。
たとえば、C銀行から借り換えの提案を受けていることを、取引中のA銀行担当者に告げて、現在の借入の金利が少しでも安くならないか相談をしてみるといったやり方です。
A銀行がこれまでの取引実績に対して評価をし、さらに借り換えに対して危機感を抱くなら、A銀行内での借り換えが実現する可能性もあります。
同銀行内での借り換えであれば、デメリットはほとんどないといえるでしょう。
借り換え可能な金融機関や団体など
銀行融資の借り換えを行うにしても、借り換え先がどこかによって融資条件は異なりますし、
借り換えすべきかどうかの判断も変わってきます。
銀行融資の借り換えが可能な金融機関について、以下で説明します。
銀行
今融資を受けている銀行、または別の銀行からよりよい条件での融資に切り替えられる場合もあります。
とくに、信用保証協会の保証付きの融資から「プロパー融資」と呼ばれる融資に切り替得てもらえる可能性がある場合は、非常にチャンスです。
プロパー融資は、信用保証協会を介さずに銀行と申込者が直接契約を交わして行われる融資です。
信用保証協会の保証付きの融資よりも低金利で融資を受けられる可能性が高いので、返済負担の軽減につながります。
関連記事:銀行融資のメリットおよびデメリットは?特徴を知って賢く利用しよう
カードローン
カードローンを利用して、銀行融資の借り換えを行うことも可能です。カードローンはいろいろな金融機関で取り扱われているので、選択肢が多いことも魅力と言えます。
注意したい点としては、カードローンの金利は銀行融資の金利よりも高めであることが多いことです。
借り換えで望ましいのは、既存の金利よりも低い金利で借り入れを行うことです。そのため、借り換えの方法としてカードローンを利用するのはあまりおすすめではありません。
あくまでも、一時的もしくは緊急の借り入れという用途で利用するようにしましょう。
関連記事:カードローンの仕組みを簡単に紹介
ノンバンク
ノンバンクとは、クレジットカード会社や信販会社・消費者金融などの、「預金業務を行わない金融機関」のことを指します。上述のカードローンも、ノンバンクが扱う商品の一種です。
ノンバンクは審査がスピーディーでスムーズに融資を行ってもらえることも多いので、急いで融資を受けたい場合にはとくに重宝します。
ただカードローン同様に、銀行融資と比べると金利が少し高めに設定されていることがネックではあります。
まとまった金額の借り換えに利用してしまうと、返済負担がのしかかることになってしまうので、慎重に利用を検討しましょう。
関連記事:ノンバンクとは何?闇金と違う?銀行融資との違いも徹底解説
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、融資などによって事業を行っている人を幅広く支援しています。
政府系の金融機関ということで、民間の金融機関よりも低めの金利で融資を受けることができるのが大きな特徴です。
ただし日本政策金融公庫は、民間の金融機関の利益を守るという観点から、民間で受けた融資の借り換えには対応していません。
民間で融資を受けつつ日本政策金融公庫でも追加融資を受けることで、総合的な金利負担を抑えることは可能なので、うまく利用する方法がないか検討するとよいでしょう。
信用保証協会
信用保証協会は金融機関での融資に対する保証業務を行っている団体ではありますが、「資金繰り円滑化借換保証制度(借換保証)」という制度も設けています。
この制度を利用すると、複数の借り入れを一本化して月々の返済金額や返済総額を減らすことができるので、負担の軽減につながります。
保証制度での保証には「セーフティーネット保証」と「一般保証」があり、どちらの保証になるかは設けられている条件を満たせるかどうかで変わります。
資金繰り円滑化借換保証制度での借り換えを検討しているのであれば、まずは自社がどちらの保証を受けられるかについて、確認しておくのが望ましいでしょう。
参考:中小企業庁|資金繰り円滑化借換保証制度
地方自治体
都道府県や市町村といった地方自治体が行っている「信用保証付き融資」でも、借り換えを行うことは可能です。
銀行と同じぐらいの低金利で融資を受けられることが多いので、銀行融資の借り換えを行う方法として、非常に現実的な方法と言えるでしょう。
融資に関する制度や条件は、それぞれの地方自治体で異なります。
会社のある自治体で利用できる融資については一度確認したうえで、借り換えの際に利用するかどうかを判断しましょう。
銀行融資の借り換えのメリット
ここからはあらためて、借り換えのメリットとデメリットを整理しておきます。
まずはメリットからです。
金利が低くなる
現在の借入の金利が2~3%以上であれば、借り換えによって金利が下がる可能性は高いはずです。
たとえ0.3%でも金利が下がれば、最終的な返済総額に大きな影響を与えることになります。
返済総額が圧縮できる
金利が低くなれば、返済総額を圧縮できます。毎月返済額、年間返済額も減ることになり、返済負担が軽減されます。
このことが、借り換えを行うことによるもっとも大きなメリットです。
複数の借入をまとめられる
おまとめローンの場合には、複数の借入をまとめて管理しやすい状態にできます。
ただし、リスク分散や、銀行同士に競合をさせるために借入先はあえて複数にしておいた方がメリットが大きいという考え方もあります。
保証協会付融資からプロパー融資に変えられる
現状の借入が信用保証協会の保証付き融資で、新規借入はプロパー融資にするという提案が受けられることもあります。
この場合はプロパー融資の方が資金調達コストは低くなり、しかも保証協会の融資枠を確保しておくことができます。
そのため、かなり有利な提案ということができるでしょう。
関連記事:プロパー融資とは?メリット・デメリット、申し込み時の注意点を解説
銀行融資の借り換えのデメリット
続いてデメリットを挙げます。
既存取引銀行との関係悪化
別の銀行からの借り換えをする場合、現在取引中の銀行との関係が悪くなる可能性があるというのが、最大のデメリットです。
関係性次第では、今後新たな借入はできなくなるかもしれません。
手数料が発生する
借り換え手数料のほか、現在の銀行との契約によっては違約金が発生することがあります。
また、不動産担保ローンの場合は不動産担保の名義変更費用がかかります。
現状の借入も借り換え後の借入も保証協会付き融資となる場合は、既存借入れの保証料の一部が戻ってきますが、保証料を新たに支払う必要もあります。
銀行融資の借り換えは返済総額を下げるチャンスですが、大きなデメリットもあるので、借り換えは十分検討した上で決断しましょう。
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