ファクタリングとは
ファクタリングとは、掛取引で発生した売掛金をファクタリング会社が買い取り、本来の支払期日よりも前に現金化するサービスのことです。
サービスを利用する事業者は、ファクタリング会社に手数料を支払うことによって速やかに資金を調達することができ、ファクタリング会社によっては、最短即日で入金してもらうことも可能です。
また、ファクタリングは、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの2つの契約形態に分類されます。
前者は、サービスを利用する事業者とファクタリング会社のみで契約して取引を行い、後者は、そこに売掛先も直接関与します。
なお、ファクタリングはあくまでも“売掛金の売買契約”であり、“借入”ではないため、融資やローンのように負債になることはありません。
ファクタリングの上限額
ファクタリングの上限額は対象の取引の売掛金の額や、利用するファクタリング会社など状況によって異なります。
つまり、“無制限に資金を調達できるサービスではない”ということを覚えておきましょう。
ここからは、ファクタリングで調達できる額を決める具体的な2つの条件を解説していきます。
①売掛金の保有額
ファクタリングで調達できる資金の上限は、自社の売掛金の額によって決まります。
なぜなら、ファクタリングは売掛金の売却によって資金を得るサービスだからです。
当然ですが、そもそも売掛金がないときに、ファクタリングを利用することはできません。
売掛金以上に多くの資金を調達したい場合や、売掛金がないケースでは、融資をはじめとするほかの方法を検討する必要があります。
ただし、融資では返済能力の有無を判断するために、自社の経営状況や会社の規模などが厳しく審査され、結果が出るまでに1週間~1か月程度の期間を要します。
関連記事:ファクタリングと融資の違いを徹底比較!
②ファクタリング会社ごとの買取可能額
ファクタリング会社ごとの買取可能額も、調達できる資金の上限を決定する条件です。
たとえば、自社の売掛金が5,000万円分であっても、ファクタリング会社の買取可能額の上限が1,000万円であれば、1,000万円以上を調達することはできません。
多くの資金を調達する必要がある場合は、利用予定のファクタリング会社の買取可能額を確認しましょう。
実際のところ、「数億円まで調達可能」「上限なし」と設定しているファクタリング会社も珍しくありません。
調達できる上限額に不安があるなら、まずは見積もりをとることをおすすめします。
関連記事:安心の大手ファクタリング会社18選【種類別】
売掛金の全額を現金化できるわけではない
先ほどご紹介したように、ファクタリングでの資金調達額の上限には売掛金の額が関係しているものの、売掛金の全額を現金化できるわけではありません。
なぜならファクタリングは、本来の支払期日よりも前に現金を調達できる代わりに、ファクタリング会社に、売掛先の信用力や売掛金の額などに応じた手数料を支払う必要があるサービスのためです。
そのため、ファクタリングを利用すると、本来の支払期日に受け取れる金額よりも手数料の分だけ少ない金額を受け取ることになります。
ファクタリングを利用して資金を調達する際は、ファクタリング会社ごとの手数料も考慮することが大切です。
関連記事:ファクタリングの仕訳方法|勘定科目や会計処理のやり方を解説
ファクタリングの手数料率の上限と相場
この章ではファクタリングの手数料率の上限と相場について詳しく解説していきます。
基本的に、ファクタリングには手数料率の上限がありません。
ファクタリングは融資ではなく、金利の上限を定める“利息制限法”が適用されないためです。
そのため、利用者の同意があれば、ファクタリング会社は自由に手数料率を設定することが可能です。
とはいえ、手数料率の相場は存在します。
利用時に必要な手数料率の相場
2者間ファクタリング
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8%~18%
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3者間ファクタリング
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2%~9%
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3者間ファクタリングの手数料率が低めに設定されているのは、ファクタリング会社が売掛先に対して売掛金の存在を直接確認できるからです。
また、手数料率に上限がないとはいっても、相場に比べて法外な手数料を要求された場合は、契約を避けるのが賢明です。
ファクタリングの手数料率があまりにも高い場合、民法第九十条「公序良俗」違反が適用されます。
公序良俗違反になると、そのファクタリング契約は無効、つまり最初から契約がなかったことにできます。
参照元:上限金利について | 日本貸金業協会
TKCローライブラリー「ファクタリング取引における債権譲渡が公序良俗違反により無効とされた事例」
ファクタリング会社を選ぶ際のポイント
ファクタリングを利用する際は、ファクタリング会社の買取可能額のほかに、自社がどれだけの資金を調達したいのかを明確にする必要があります。
ここでは、必要な資金調達額のケース別に、ファクタリング会社を選ぶ際に押さえておきたいポイントを紹介します。
自社にとって最適な会社と契約できるよう、選定時にお役立てください。
必要な資金調達額が小さい場合
調達したい額がそれほど大きくないなら、少額のファクタリングを得意とするファクタリング会社を選びましょう。
ファクタリングの審査にかかるコストや手間は、売掛金の額によって大きく変動するわけではありません。
しかしファクタリング会社にとっては、高額の売掛金のほうが利益を得られるため、少額の売掛金を買い取る場合は、手数料率を高めに設定する傾向にあります。
一方少額のファクタリングに特化している会社であれば、買取可能額の下限と手数料率が低めに設定されていることが多く、割高な手数料を支払わずに済むのでおすすめです。
必要な資金調達額が大きい場合
まとまった資金を調達したい場合は、高額の利用に強いファクタリング会社を選ぶのが基本です。
ファクタリング会社のなかには、買取可能額に上限を設けているところもあります。
中小規模のファクタリング会社では、上限を数千万円程度に設定していることがほとんどです。
もし1億円以上の売掛金を買い取ってもらいたいなら、大手グループ系列や銀行系のファクタリング会社に依頼しましょう。
ただし、申し込みから入金までのスピードにはご注意ください。
大手グループ系列や銀行系のファクタリング会社は、数億円規模のファクタリングに対応できる一方で、現金化までに時間がかかるケースもあるためです。
ファクタリングの利用目的は、売掛金の早期の現金化ですから、“高額のファクタリングに対応している”かつ、“即日入金可能”という基準で選ぶとよいでしょう。
なお、申し込みは土日・祝日も受け付けていても、審査・入金の対応は平日のみというケースもあるので、最短何日で入金してもらえるのかを申し込み前に確認すると安心です。
おすすめのファクタリング会社
ここからは、おすすめのファクタリング会社を6社、ピックアップして紹介していきます。
少額取引と高額取引に分けて、それぞれ3社ずつ得意な会社を取り上げますので、自社が必要な資金調達額に応じて利用をご検討ください。
少額の売掛金でも利用可能なファクタリング会社
まずご紹介するのは、少額の売掛金でも買い取ってもらえるファクタリング会社です。
少額の売掛金でも利用可能な会社
- ビートレーディング
- みんなのファクタリング
- ペイトナーファクタリング
買取可能額はもちろん、利用できる契約形態や入金までのスピードなども確認していきましょう。
ビートレーディング
ビートレーディングは、ファクタリング業界のパイオニアとして知られている会社です。
【ビートレーディングの情報】
買取可能額
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下限・上限なし
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契約形態
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2者間ファクタリング・3者間ファクタリング
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手数料率
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2者間:4%~12%程度
3者間:2%~9%程度
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入金までのスピード
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最短2時間
|
契約方法
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オンライン、対面、出張、郵送
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必要書類
|
表紙つきの通帳のコピー(表紙付き、直近2か月分)
売掛金に関する資料(請求書や契約書など)
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利用者
|
法人・個人事業主
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買取可能額の下限はないため、少額の売掛金でも買い取ってもらえます。
2者間ファクタリングの手数料率が4%~12%程度と、相場の8%~18%と比べて低めに設定されているので、手数料を抑えてより多くの資金を調達することが可能です。
また、オンライン上で手続きを完結でき、申し込みから最短2時間で入金してもらえるのも魅力です。
必要書類もたったの2点で済み、準備に手間がかかりません。
ビートレーディングに
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みんなのファクタリング
みんなのファクタリングは、個人事業主やフリーランスの方を中心に提供している、完全オンライン型のサービスです。
【みんなのファクタリングの情報】
買取可能額
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1万円~300万円
※初回は50万円まで
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契約形態
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2者間ファクタリング
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手数料率
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非公開
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入金までのスピード
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最短1時間
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契約方法
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オンライン
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必要書類
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身分証明書、請求書や通帳などのエビデンスとなる書類
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利用者
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法人・個人事業主
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1万円という少額からでも、売掛金の買取を行っています。
ただし、初回は50万円まで、2回目以降は300万円までと買取可能額には上限がある点にご注意ください。
申し込みから入金まですべてWebシステム上で完結でき、対面や電話でのやり取りが一切発生しません。
審査には独自のAIを採用しているので、申し込みから最短1時間で振込を行ってもらえます。
土日・祝日を問わず年中無休で営業しているため、早急に現金が必要な場合に適しています。
ペイトナーファクタリング
ペイトナーファクタリングも、個人事業主やフリーランスの方向けの、2者間ファクタリングに特化したサービスです。
みんなのファクタリングの
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【みんなのファクタリングの口コミ・評判はこちら】
【ペイトナーファクタリングの情報】
買取可能額
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1万円~100万円
※初回は25万円まで
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契約形態
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2者間ファクタリング
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手数料率
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10%
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入金までのスピード
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最短10分
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契約方法
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オンライン
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必要書類
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請求書(支払期日まで70日以内)
本人確認書類
入出金明細
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利用者
|
法人・個人事業主
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1万円から売掛金を買い取っており、請求書の額面が低い場合でも気兼ねなく申し込むことができます。
必要な手続きは、無料会員登録後に、請求書をPDFまたは画像データでアップロードすることだけです。
平日10:00~19:00の営業時間内に審査に通過すれば、最短10分という業界トップクラスの速さで入金が完了します。
手数料率は、売掛金の額や売掛先の信用力などにかかわらず一律10%となっているため、受け取れる金額が事前にわかります。
ペイトナーファクタリングの
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【ペイトナーファクタリングの口コミ・評判はこちら】
高額の売掛金でも利用可能なファクタリング会社
続けて、高額の売掛金を買い取ってもらえるファクタリング会社を紹介します。
高額の売掛金でも利用可能な会社
- 日本中小企業金融サポート機構
- OLTA(オルタ)
- QuQuMo(ククモ)
なお、3社ともに買取可能額に上限はありません。
そのため入金までのスピードや手数料率など、そのほかのポイントに着目していきましょう。
日本中小企業金融サポート機構
日本中小企業金融サポート機構は、資金繰りに関する課題を解決に導くために、幅広いサービスを提供する一般社団法人です。
【日本中小企業金融サポート機構の情報】
買取可能額
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下限・上限なし
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契約形態
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2者間ファクタリング・3者間ファクタリング
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手数料率
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入金までのスピード
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最短3時間
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契約方法
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オンライン、来社、訪問
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必要書類
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表紙つきの通帳のコピー(直近3か月分)
売掛金に関する資料(請求書や契約書など)
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利用者
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法人・個人事業主
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2億円もの売掛金の買取を行った実績があるため、まとまった資金が必要な場合も安心して申し込めます。
申し込みから契約までオンライン上で完結できるので、最短3時間で資金を調達できます。
また、非営利団体としてファクタリングを提供しており、手数料率が低いのも嬉しいポイントです。
中小企業の経営者の方には、特におすすめできるファクタリングサービス提供機関です。
日本中小企業金融サポート機構に
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【日本中小企業金融サポート機構の口コミ・評判はこちら】
OLTA
OLTAは、オンライン完結型のファクタリングサービスです。
三大メガバンクをはじめ多くの銀行とパートナー契約を結んでいるため、安心して利用できます。
【OLTAの情報】
買取可能額
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下限・上限なし
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契約形態
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2者間ファクタリング
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手数料率
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2%~9%
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入金までのスピード
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最短1日
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契約方法
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オンライン
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必要書類
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昨年度の決算書一式
請求書(支払期日が6日以上)
入出金明細
本人確認書類
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利用者
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法人・個人事業主
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買取可能額に下限・上限が設けられておらず、売掛金の部分的な買取にも対応しています。
たとえば、1,000万円の売掛金のうち、600万円のみを買い取ってもらうといった具合です。
さらに手数料率が2%~9%と、相場の8%~18%と比較して低めに設定されています。
手続きはオンライン上で完結できますが、サービス内容に関して不明点があれば、公式サイトのチャットボットや、電話によるサポートによって解決できるので安心です。
OLTAの
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【OLTA(オルタ)の口コミ・評判はこちら】
QuQuMo
QuQuMoもオンライン完結型のファクタリングサービスで、法人・個人事業主問わず利用することが可能です。
サービス名は、“Quality・Quick・Money”の頭文字から名づけられています。
【QuQuMoの情報】
買取可能額
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下限・上限なし
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契約形態
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2者間ファクタリング
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手数料率
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1%~
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入金までのスピード
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最短2時間
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契約方法
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オンライン
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必要書類
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請求書
通帳
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利用者
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法人・個人事業主
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買取可能額の下限・上限がないため、少額から高額まで柔軟に対応してもらえるのが魅力です。
必要書類は請求書と通帳の2点だけで、申し込みから最短2時間で入金が完了します。
契約締結には、弁護士ドットコムが監修する、電子契約サービス“クラウドサイン”が採用されており、万全のセキュリティ体制のもとで手続きを進めることができます。
契約形態は2者間ファクタリングのみですが、手数料率は1%~と良心的です。
QuQuMoの
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【QuQuMoの口コミ・評判はこちら】
ファクタリングの利用にあたっての注意点
最後に、ファクタリングの利用に際して、気をつけたい点を紹介します。
違法業者や悪徳業者が存在する
ファクタリングの利用時には、違法・悪徳業者との契約を避けるために、安全性を見極めることが欠かせません。
違法・悪徳業者は、手数料として高額な事務手数料や審査費用などを請求してくる場合があります。
そのため、見積もりで提示された手数料を相場と比較し、内訳も確認することが大切です。
また、公式サイトに掲載されているこれまでの実績を確認するのも一つの手です。
関連記事:ファクタリングが違法ではない根拠と悪徳業者の特徴を解説
償還請求権の有無を確認する
ファクタリングを利用する際は、償還請求権の有無を確認することも忘れてはいけません。
償還請求権は、金銭債権の債務者が返済不能になった場合に、現在の債権者がもとの債権者に遡って金銭を請求できる権利です。
これがある契約を結んでしまうと、売掛先が倒産した場合、利用者にファクタリング会社への弁済義務が生じます。
ファクタリングは売掛金の売買契約であるため、基本的には償還請求権がない契約になりますが、安心してファクタリングを利用するためにも、契約内容を十分に確認しましょう。
関連記事:ファクタリングにおける償還請求権の意味とその影響を解説
ファクタリングの資金調達額の上限は、自社の売掛金の額と買取可能額で決まる
今回は、ファクタリングで調達できる額に上限があるのかという疑問にお答えしました。
原則として、ファクタリングの資金調達額の上限は自社の売掛金の額と、利用するファクタリング会社の買取可能額によって決まります。
また、ファクタリング会社によって、買取可能額はもちろん、入金までのスピードや手数料率が異なるため、自社で優先したい条件を決めて契約を交わしましょう。
資金調達ニュース.comでは、資金調達に関する情報を掲載しています。
買取可能額の上限や土日・祝日の対応有無など、さまざまな観点でファクタリング会社をまとめている記事もありますのでご覧ください。
この記事の執筆者:資金調達ニュース編集部
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