ファクタリングには貸金業法が適用されない
ファクタリングは「貸金業法」の適用対象外であるため、取り立て方法に関するルールが厳密に決められていません。
貸金業法とは、貸金業者による取り立て行為に対して、禁止事項を定めた法律のことです。
「お金を貸す業者」の業務について定められている法律なので、ファクタリングには適用されないというわけです。
ファクタリングにおいては、法律で禁止事項が設けられているわけではないものの、多くのファクタリング会社は貸金業法の範囲内で取り立て行為を行っています。
ただし、一部のファクタリング会社では、想像以上に厳しい取り立てを行っている場合があります。
そのため、ファクタリングに限った話ではありませんが、契約を守って取引を進めることが欠かせないのです。
なお、貸金業法の取り立て規制の詳細については後述しますので、そちらをご覧ください。
参照:貸金業法のキホン|金融庁
貸金業者とファクタリング会社の違い
貸金業者とファクタリング会社は、どちらも資金調達できることから、同じサービスだと思われるかもしれませんが、いくつもの違いがあります。
その具体的な違いの一例を、以下の表にまとめました。
【貸金業者とファクタリング会社の違い】
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貸金業者
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ファクタリング会社
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貸金業登録の有無
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登録が必須
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登録は不要
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資金調達の方法
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借入
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売掛金の売却
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契約内容
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金銭消費貸借契約
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債権譲渡契約
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資金調達のスピード
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最短1週間~2週間
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最短即日
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貸金業者とファクタリング会社の大きな違いは、資金調達の方法です。
貸金業者は、その名の通り「お金を貸す」または「お金の貸し借りの仲介」を主な業務とする、業者のことです。
消費者金融やクレジットカード会社などが、これに該当します。
一方で、利用者が売却した売掛金を買い取り、現金化するのがファクタリング会社です。
「お金を貸す」のではなく、あくまでも「売掛金の売買」をメインの業務としています。
このように、貸金業者とファクタリング会社は、事業形態そのものが異なることから、資金調達の方法にも違いが生じるのです。
関連記事:ファクタリングと融資の違いを徹底比較!
貸金業法の取り立て規制について
ここからは、貸金業法の取り立て規制について見ていきます。
貸金業法では、債務者の生活や業務に支障をきたすような行為、または言動が禁止されています。
たとえば、正当な理由なく、21時から翌日8時までの間に電話をかけたり、自宅に訪問したりして取り立てる行為は違法です。
ただし、「22時以降に電話してほしい」という債務者の指定にしたがって実行した場合は、正当な理由として認められますから、違法ではありません。
この貸金業法が適用されないファクタリングでは、もちろん規制を受けることもないので「自由な方法」で取り立てが実行されます。
例に挙げた「21時から翌日8時までの間の電話や自宅訪問」も、ファクタリングにおいては、必ずしも違法になるとは言い切れないのです。
参照:貸金業法 | e-Gov法令検索
ファクタリング会社による一般的な取り立て方法
ここでは、ファクタリング会社による取り立て方法を解説します。
【ファクタリング会社による一般的な取り立て方法】
なお、償還請求権のない一般的なファクタリングで取り立てを受けることになるのは、「2者間ファクタリングを利用する場合」かつ「利用者が代金を支払わない場合」のみです。
ステップ①取り立て先を確認する
ファクタリング会社は、売掛金の回収に遅れが生じると、売掛先と利用者のどちらに取り立てるべきかを確認します。
というのも、ファクタリングでは、「売掛先が期日までに代金を支払わない」といった事態が発生することも多く、取り立て先が必ずしも利用者になるとは言い切れないためです。
確認する際は、売掛先に「債権譲渡通知」を送付したのち、支払いの有無を調査します。
調査の結果、代金が未払いだったのであれば、売掛先が取り立てられます。
しかし、支払い済みだった場合は、利用者が取り立てを受けるだけではなく、売掛先からの信用を失うことにもなりかねません。
ステップ②任意で支払いを求める
取り立て先を確認し、利用者が売掛金を回収しているにもかかわらず、ファクタリング会社に支払っていないとわかった場合は、任意で支払いを求められます。
電話やメール、内容証明郵便などで支払いを催促されるのが一般的です。
ファクタリング会社によっては、職場や自宅まで取り立てに来るケースもありますが、威圧的な態度で脅迫されるようなことは、基本的にはないと考えてよいでしょう。
ステップ③支払督促または訴訟を起こす
任意の支払いに応じないときは、ファクタリング会社に支払督促、または訴訟を起こされる可能性があります。
支払督促とは、裁判所を通じて利用者に「支払督促申立書」という文書が送付され、未払いとなっている金銭や代替物の引き渡しを求められる制度のことです。
利用者は、この文書を受け取ったあと2週間以内に異議申し立てしなければ、裁判所から仮執行宣言を出され、資産を差し押さえられてしまいます。
異議申し立てした場合は、次のステップとして訴訟に移行したのち、裁判所から判決が下されます。
参照:裁判所|支払督促申立書
ステップ④強制執行する
支払督促申立書を受け取ったり裁判所から判決が下ったりしても、なお利用者が代金を支払わない場合は、強制執行の手続きがとられます。
ファクタリング会社が強制執行の申立てを行い、それが裁判所に認められると、利用者の給与の一部や銀行口座の預金、不動産、保険などが差し押さえとなります。
強制執行は、ファクタリング会社による取り立ての本当に最後の手段です。
この段階まで進むと、事業存続が困難になるほか、社会的信用を完全に失ってしまうとも考えられます。
最低でも、支払督促を受けた時点で支払いに応じることが大切です。
関連記事:ファクタリングにおける支払いができない場合のリスクとは
ファクタリング会社を装う業者の取り立ての例
優良なファクタリング会社なら、ここまでお話しした流れで取り立てが進むことがほとんどですが、なかには嫌がらせに該当する悪質な手段をとる業者もあります。
具体的には、以下のような行為が挙げられます。
【悪質なファクタリング業者による取り立ての例】
- 時間を問わず、1日に数十件以上の電話をかけてくる
- 店舗や営業所に押しかけてくる
- 脅迫にあたる言葉をかけられる
悪質なファクタリング会社の場合は、一日でも早く売掛金を回収するために、こうした嫌がらせを繰り返し、利用者を精神的に追い詰めるような手段に出ることも珍しくありません。
そして、飛び火するかのように家族や友人、従業員などに対しても、悪質な取り立てが実行される可能性もあります。
ですから、利用する際は「手数料が安い」「審査がない」などの条件だけを見て、ファクタリング会社を決めるのではなく、複数社比較して優良な業者を見極めることが不可欠です。
関連記事:ファクタリングが違法ではない根拠と悪徳業者の特徴を解説
違法となる取り立てはあるのか?
ファクタリングにおける取り立て方法は自由であるとはいえ、まったく規制がないわけではありません。
基本的には、法に触れる行為で取り立てを受けたら違法となります。
たとえば、暴力を振るわれた場合は「暴行罪」、大声で叫んだりチラシを配られたりして、周囲に代金が未払いであることを暴露された場合は「名誉棄損罪」にあたります。
万が一、ファクタリング会社から度を超えた嫌がらせを受けたときは、その内容が法律に反していないかどうかを確認しましょう。
そして、違法な取り立てだとわかったら、以下で紹介する機関に相談してください。
悪質な取り立てにあったときの相談先
それでは、悪質な取り立てにあったときの相談先となる4つの機関を紹介していきます。
消費生活センター
あらゆる契約やサービスでのトラブルを解決してくれる「消費生活センター」なら、ファクタリング会社による悪質な取り立ても相談できます。
「188」番に電話をかけ、アナウンスに沿って操作すると、ご自身が住んでいる市区町村の消費生活センターの相談窓口につながります。
相談員たちは、それぞれ専門的な知識をもっているので、問題解決に向け、心強い味方となってくれること間違いなしです。
公式サイト:全国の消費生活センター
金融庁 金融サービス利用者相談室
ファクタリング会社を装った業者に騙され、悪質な取り立て被害に遭ったら、金融庁が提供する「金融サービス利用者相談室」を活用してみてください。
金融サービスを利用した際に発生したトラブルの相談に加えて、解決するためのアドバイスや情報提供もしてくれます。
偽装ファクタリングによる被害は増加傾向にありますので、少しでも怪しいと感じたらすぐに相談しましょう。
このサービスは、公式ホームページや電話、メールなどから相談を受け付けています。
公式サイト:金融庁|金融サービス利用者相談室
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター
「貸金業相談・紛争解決センター」は、貸金業者と利用者の間に立って、トラブル解消に向けて情報提供してくれるサービスのことです。
貸金業に精通した専門機関のため、こちらも、偽装ファクタリングによる取り立て被害を受けた場合に最適な相談先です。
窓口での相談のほか、電話やホームページからも相談を受け付けており、いずれの方法でも相談員と直接話をしてアドバイスをもらえます。
豊富な知識をもったプロが親身に相談に乗ってくれるので、「自分の力で解決できない」「どうしよう」と不安になっていても、心をホッと落ち着かせることができそうです。
公式サイト:日本貸金業協会|貸金業相談・紛争解決センターについて
警察
ファクタリング会社による悪質かつ、違法な取り立てにあったときは「警察」に相談しましょう。
警察署に出向くほか、「#9110」番を利用すれば、電話からでも無料で相談できます。
ただし、事件性が認められない被害に関しては、警察に相談し、被害届を提出したところで、必ずしも積極的に捜査してくれるとは言い切れません。
また、捜査には多くの時間がかかりますので、相談後すぐの解決は難しいことをきちんと理解しておく必要があります。
それでも、被害が悪化する前に警察に相談すれば、少し心に余裕をもてるようになるはずです。
悪質なファクタリング会社を見抜く方法
これまで見てきたような取り立ての被害に遭わないためにも、事前に悪質なファクタリング会社を見抜きたいものです。
【ファクタリング会社による一般的な取り立て方法】
ここでは、その見抜き方を4つ紹介します。
ポイント①契約書の内容は適切か
まずは、契約書の内容が適切かどうかをきちんと確認しましょう。
悪質なファクタリング会社は、利用者にとって不利にはたらく条件を誤魔化すために、契約書を渡さなかったり、契約内容の説明自体を端折ったりすることがあります。
もし、利用者の手元に契約書がなければ、ファクタリング会社が内容を書き換えてしまうおそれがあります。
利用者が何か問題を起こしたときには、書き換えた契約書を武器に詰められてしまうのです。
関連記事:ファクタリングの契約手順と注意点|契約書はきちんと確認を!
ポイント②手数料は適正か
ファクタリングの手数料が、相場よりも極端に高かったり低かったりした場合は、即決せず、利用を検討し直してみてください。
手数料の相場としては、2者間ファクタリングが8%~18%、3者間ファクタリングが2%~9%となっています。
また、契約が決まった途端に、さまざまな手数料を上乗せしてくるファクタリング会社にも注意しましょう。
具体的には、事前説明なしに、相談手数料や審査手数料などを追加されることが挙げられます。
関連記事:ファクタリングにかかる手数料率の相場はどのくらい?
ポイント③償還請求権は設定されているか
貸金業登録していないファクタリング会社が、償還請求権ありの契約を結ばせようとしてきたときは、注意が必要です。
なぜなら、貸金業登録していない業者が償還請求権を扱うことは違法だからです。
それだけではなく、手数料が高額だったり売掛金の買取金額が著しく低額だったりと、条件が怪しい可能性もあります。
ただし、契約先が銀行や貸金業者ならば、償還請求権ありのファクタリングでも違法ではありません。
償還請求権を扱えるのは、こうした貸金業登録している業者だけなのです。
前述したように、一般的なファクタリング会社は貸金業登録をしていませんので、もちろん償還請求権ありの契約は結べないというわけです。
関連記事:ファクタリングにおける償還請求権の意味とその影響を解説
ポイント④会社の実態や実績が明確か
インターネットで検索したときに、設立年月日や代表者の名前、資本金など、企業の詳しい情報が出てこないときは、悪質なファクタリング会社の可能性があります。
また、そもそもホームページが作られていないケースも、悪質な業者を疑うべきです。
ファクタリングは、利用者と運営会社のお互いの信頼が欠かせませんから、きちんと情報が公開されていることが不可欠なのです。
関連記事:健全なファクタリング取引を行うために|詐欺の事例も紹介
安心安全なおすすめのファクタリング会社5選
ここまでお話ししたように、優良なファクタリング会社をきちんと見抜けないと、利用者にとって由々しき事態になりかねません。
しかし、数あるファクタリング会社のなかから、優良な企業を見つけるのは難しいですよね。
ここからは、安心安全に利用できるおすすめのファクタリング会社を5つ紹介していきます。
ファクタリング会社を選ぶ際の参考にしていただけたら幸いです。
ビートレーディング
「ビートレーディング」は、豊富な利用実績を誇るファクタリングサービスです。
2024年4月時点では、累計取引者数5.8万社、累計買取額1,300億円に上ります。
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