後払いファクタリングとは
後払いファクタリングとは、利用者が後払いで商品を購入し、キャッシュバックやレビューの対価というかたちで資金を調達するサービスです。
主に個人を対象としており、融資を受けられなかったり売掛債権がなかったりと、ほかの手段で資金を調達できない方でも利用できます。
「ファクタリング」と名のつくサービスではあるものの、実態は一般的なファクタリングとは大きく異なります。
後払いファクタリングの種類とそれぞれの仕組み
後払いファクタリングとして提供されるサービスには、主に3種類の方法があります。
それぞれの特徴や仕組みを詳しく見ていきましょう。
キャッシュバック方式
キャッシュバック方式とは、その名の通り、商品を購入した際のキャッシュバックというかたちで現金を受け取る方法です。
利用者は、業者が販売する商品を後払いで購入し、それと同時に購入特典として、キャッシュバックを受けます。
商品を購入するだけで資金を調達できるため、このあと紹介する2つの方法と比べて、手軽に実行できる点が特徴です。
購入する商品は、デジタルコンテンツやデジタルアートといった無形商材のケースがほとんどなので、取引はオンライン上で完結します。
転売代行方式
業者に商品の購入と売却のすべてを委託するのが、転売代行方式です。
利用者は、商品の売却価格から手数料を差し引いた額を、資金として調達できます。
転売代行方式で扱う商品は、キャッシュバック方式と同様に、デジタルコンテンツなどの無形商材が中心です。
利用者が現金を得るために、商品の売買という形式をとっているものの、その商品自体には価値がない場合もあります。
この方法では、購入した商品が手元に届くことはなく、現金のみを受け取れるため、同居者に利用を知られたくない方に適しています。
宣伝報酬方式
宣伝報酬方式は、後払いで購入した商品のレビューを投稿することで、その対価として現金を受け取る仕組みです。
なお、宣伝報酬方式の利用者は「インフルエンサー」や「ディストリビューター」と称される場合があります。
この「宣伝報酬」は、購入価格の60%程度であるケースが多く、商品の価格に対して調達できる資金は、やや少ない傾向にあります。
ただし、宣伝報酬方式は、情報商材やFX自動売買ソフトなどで用いられる方法なので、購入した商品の使い方によっては、副収入を得られるかもしれません。
後払いファクタリングは違法なのか?
現在、後払いファクタリング自体は、法律に違反しているわけではありません。
ただし消費者庁や金融庁は「場合によっては貸金業に該当し、法律に違反している可能性がある」と、注意喚起しています。
現金をやり取りするための、形式的な商品売買が問題視されているわけです。
第四十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 不正の手段によつて第三条第一項の登録を受けた者
二 第十一条第一項の規定に違反した者
三 第十二条の規定に違反した者
引用:貸金業法 | e-Gov法令検索
登録を受けずに貸金業を行った業者は、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金またはその両方に科せられます。
利用者が罪に問われることはありませんが、悪徳業者を利用することで思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そのような事態を避けるためにも、利用は慎重に判断しましょう。
また、サービスを提供する業者のなかには、極めて高額な手数料を請求してくる業者も紛れているため、そういった点でも注意が必要です。
参照元:消費者庁、金融庁、警察庁等の注意喚起
後払いファクタリングのメリット
それではなぜ、このようにリスクの高い後払いファクタリングに、利用者がいるのでしょうか。
ここからは、その理由となる、後払いファクタリングの4つのメリットを紹介します。
【ファクタリングのメリット】
メリット①早期の資金調達が叶う
これは一般的なファクタリングにもいえることですが、後払いファクタリングでは早期の資金調達が叶います。
金融機関からの融資の場合、申し込みに必要な書類の準備や、信用情報の審査に一定の時間を要するため、すぐに現金を手にできません。
一方で、後払いファクタリングは、業者に指定された商品を購入してから、最短30分程度で資金を調達できます。
メリット②融資を断られた場合でも利用できる可能性がある
後払いファクタリングは、金融機関に融資を断られた場合でも、問題なく利用できる可能性があります。
なぜなら、一般的な融資とは異なり、利用者の信用度が重視されるわけではないからです。
融資では、他所からの借り入れが多い場合や、過去に返済が滞ったことがある場合などに、返済能力がないと判断され、新規の契約を断られてしまいます。
その点、後払いファクタリングは融資契約と比較し、比較的審査が厳しくない傾向にあります。
後払いに必要な最低限の資金力は確認されますが、金融機関に融資を断られたとしても利用できる可能性は十分あるでしょう。
関連記事:ファクタリングと融資の違いを徹底比較!
メリット③信用情報に傷がつかない
利用者の信用情報に傷がつかない点も、後払いファクタリングのメリットです。
融資やローンの利用履歴は信用情報に記録され、金融機関に共有されます。
借り入れの形跡が残ると、「資金繰りに困っている」と判断され、新たな融資を断られたりローンを組めなかったりと、将来的に不利益を被るおそれがあります。
融資ではない後払いファクタリングは、金融機関が関与しないため、信用情報に記録が残らないのが、利用者にとっては使いやすいところだといえます。
関連記事:ブラックリストに載っていてもファクタリングは利用できる?
メリット④取引先や家族に知られない
後払いファクタリングは、利用した旨を周囲に知られる可能性が低いといえます。
ほとんどの場合、後払いファクタリングの取引はオンライン上で完結します。
実際に商品を受け取るシーンはないため、「同居する家族や勤務先の人間に利用を知られたくない」という方にはうってつけでしょう。
また、3者間ファクタリングのように、売掛先に承諾を得る必要もないため、事業者が取引先から信用を失う事態も避けられます。
関連記事:ファクタリングの利用は取引先に通知される?
後払いファクタリングのデメリット
後払いファクタリングは一見魅力的なサービスですが、欠点が多いことも事実です。
利用する前にデメリットも知っておきましょう。
【後払いファクタリングのデメリット】
デメリット①手数料が高い
後払いファクタリングで受け取ることができるのは、商品の購入価格の全額ではなく、そこから手数料を差し引いた額です。
業者や契約の種類によって異なりますが、手元に残るのは、購入価格の70%~90%程度といわれています。
つまり、後払いファクタリングの手数料率は、10%~30%です。
一般的な2者間ファクタリングでは、手数料率の相場が8%~18%となっているので、比較すると高額だとわかります。
後払いファクタリングで設定されている手数料率を年利に換算すると、300%を超えるケースも珍しくありません。
利息制限法では、借入金額に応じて年率15%~20%が上限金利として設定されており、それを超過した場合、無効となります。
しかし、融資ではない後払いファクタリングは、利息制限法の適用外であり、非常識な手数料を請求されたとしても法的に保護されない可能性があります。
第一条 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が十万円未満の場合 年二割
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分
引用:利息制限法 | e-Gov法令検索
関連記事:ファクタリングにかかる手数料率の相場はどのくらい?
デメリット②収入源を開示しないと利用できない
後払いファクタリングの審査が融資と比べて厳しくないとはいっても、最低限の資金力は確認されます。
特に、利用者の収入を証明できなければ、審査に通過することは難しいでしょう。
そもそも、後払いファクタリングは、後ほど商品の購入金額を支払うという前提のもと、資金を受け取ることができるサービスです。
そのため、きちんと後払いが可能な資金力の裏づけとして、給与明細などを提出し、収入源を明らかにする必要があります。
収入源を開示できない場合や、そもそも収入がまったくのゼロである場合は、後払いファクタリングを利用することはできません。
関連記事:売掛先が個人でもファクタリングは利用可能?
デメリット③在籍確認が行われるケースがある
業者によっては、審査時に在籍確認を行っているケースがあります。
在籍確認とは、業者が利用者の資金力を判断するために、申告された勤務先で本当に働いているかを確認するフローのことです。
なかには、勤務先に個人名で連絡をとり、後払いファクタリングを提供する業者であることを名乗らないまま、在籍確認を済ませる場合もあります。
勤務先の人間に、後払いファクタリングの利用を知られたくない場合は、事前に在籍確認の有無やその方法をチェックしておきましょう。
デメリット④法的な規制がない
後払いファクタリングは法整備が追いついていないため、ほかの資金調達方法と比べて、トラブルに巻き込まれるリスクが高いというのが現状です。
後払いファクタリングが浸透する以前は、「給料ファクタリング」とよばれるサービスを提供する業者が多く存在していました。
給料ファクタリングもまた、ファクタリングと名のつくものの、実態は個人をターゲットに違法な貸付を行う、一般的なファクタリングとは乖離したサービスです。
その危険性は徐々に周知され、2020年以降は摘発事例が相次ぎ、裁判所から「給料ファクタリングは貸金業にあたる」という見解が示されました。
これにより、給料ファクタリングを提供する多くの業者が廃業に至ったのです。
「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。
引用:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
しかし現在、その流れを継ぐかのように、かつて給料ファクタリングを利用していた層をターゲットとした後払いファクタリングが広がり、再び問題視されています。
今のところ、法的な規制や摘発事例はないものの、これから先、後払いファクタリングが給料ファクタリングの跡をたどる可能性は高いといえそうです。
関連記事:給料ファクタリングとは?違法性を解説
デメリット⑤悪徳業者が存在している
後払いファクタリングには現在、法的な規制がないことから、提供する業者のなかには悪徳業者が数多く混在しています。
これは、貸金業とは異なり、サービスを提供するにあたって免許や届出が必要ないため、どのような業者でも参入できるためです。
なかには、いわゆるヤミ金や反社会的勢力が関与している業者も紛れており、そのような業者を利用するとトラブルに巻き込まれるかもしれません。
たとえば、利用者の勤務先に無断で在籍確認を行う、ホームページに掲載されている内容とは異なる契約を提示するなどの、不誠実な対応をとる業者にはご注意ください。
関連記事:ファクタリングが違法ではない根拠と悪徳業者の特徴を解説
後払いファクタリングを利用する際の流れ
最後に「それでも後払いファクタリングを利用したい」という方のために、実際の流れを紹介します。
ここでは、後払いファクタリングとして一般的なキャッシュバック方式を例に、申し込みから支払いまでのフローを見てみます。
【後払いファクタリングを利用する際の流れ】
ステップ①利用申し込みする
まずは、業者のホームページなどから、後払いファクタリングの利用を申し込みます。
前述の通り、後払いファクタリングには悪徳業者が多いため、ホームページを確認し、少しでも信用できそうなサービスを選んでください。
多くの場合、後払いファクタリングはオンライン上ですべての手続きが完結します。
画面に従って、必要な情報を入力しましょう。
ステップ②必要書類を提出する
申し込み時には、利用者の情報がわかる書類を何点か提出します。
必要な書類は業者によって異なるものの、おおむね以下の通りです。
【後払いファクタリングに必要な書類】
特に収入源がわかる書類がなければ、後払いファクタリングの利用はできません。
ステップ③審査を受ける
後払いファクタリングにも、融資やほかのファクタリングと同じく、審査があります。
ただし、審査は厳しいものではなく、利用者が収入を証明し、最低限の資金力が認められれば、ほとんどの場合通過できます。
業者によっては、審査の際に勤務先への在籍確認が行われるので、後払いファクタリングの利用を周囲に知られたくない方は、注意しましょう。
関連記事:ファクタリングの審査に通らない!その原因と対処法を解説
ステップ④契約する
利用者に問題がないと判断され、審査を通過すれば、契約へと進みます。
オンライン上で手続きする場合でも、契約の締結は不可欠です。
契約書をもらえないまま手続きが進むのであれば、必ず業者に確認してください。
関連記事:ファクタリングの契約手順と注意点|契約書はきちんと確認を!
ステップ⑤商品を購入し、現金を受け取る
契約書を交わしたあとは、希望する金額に応じて、購入する商品とキャッシュバックの金額が案内されます。
多くの場合、購入する商品はデジタルコンテンツやデジタルアートといった、オンライン上で保有するものなので、自宅などに届くわけではありません。
無事に購入が完了すると、キャッシュバックとして現金が振り込まれます。
関連記事:ファクタリングの契約手順と注意点|契約書はきちんと確認を!
ステップ⑥期日までに代金を支払う
最後に、契約時に定めた期日までに代金を支払います。
業者との契約によりますが、支払いまでの期間は、おおむね1か月程度です。
支払いの遅延や滞納が発生すると、今後のサービスの利用を断られる可能性があります。
忘れずに、期日までの支払いを済ませてください。
関連記事:ファクタリングで分割返済は可能?支払えない場合の対処法も紹介
後払いファクタリングは違法ではないものの、リスクが大きい。利用する際は慎重な検討が必要
本記事では、後払いファクタリングの違法性や、メリット・デメリットを解説しました。
現状、後払いファクタリングは法に触れるサービスではないものの、かつての給料ファクタリングのように、さまざまなリスクを抱えています。
あまり考えずに利用すると、高額な支払いによって経済状況が悪化したり、悪徳業者に遭遇したりと、かえって不利益を被ることが考えられます。
本来なら売掛債権を売却する一般的なファクタリングのように、より安全なサービスを使って資金を調達するのがおすすめです。
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